クラシックうんぬんを語るには、札幌2歳Sは1分50秒を切ることがひとつの目安となるが、1分49秒7なら、時計的にもマズマズ。昨年のロジユニヴァースのレコードには劣るものの、来春が一応見えてきたように思う。
2着はモズ。フラフラとして若さを残しながらも、スローの流れにうまく乗ったように感じた。惜しかったのはアーバンウィナー。道中はシンガリを決め込み、追い込み届かずの3着に終わったが、上がり3Fは34秒7。札幌の洋芝で34秒台の上がりは、東京なら33秒台前半の価値がある。
1番人気のダノンパッションは、ラスト1Fの甘さや体形を思うと基本はマイラー。ロードシップは、パドックを見て、負けっこないと思えたが、あの下がり方が不可解。ソエがきついとか、何かアクシデントでもあったのだろう。
なんて、新潟2歳Sは、ザッと出走馬をパドックで見渡すと、ほどよく整ったコンパクトなマイラーがそろったなという印象を受けた。なかでも、身のこなし、機敏さ、バランスの良さはシンメイフジに一日の長あり。
レースは前半1000メートルが60秒6というマイル重賞にしては、スローでストレスのたまる流れ。インに閉じ込められたり、折り合いを欠いたりする馬も多かったなか、上がり3F32秒9の末脚で大外一気の離れ業は、結局はキャリアと完成度の高さの差なんだろう。
2着に競り負けたフローライゼの奮闘には、一応の敬意を表するものの、同じメンバーで戦って、同じ結果が出るとは限らない。クロフォードあたりはモロにキャリア不足に泣いての3着。ただ、ここで言う「完成度の高さ」とは、「早熟」とは微妙に異なる。大事にローテーションを組めば、暮れの阪神JF、来春の桜花賞まで続く個体能力を有している馬だとみたが、さて…。
一方、メンバー的に小粒感の否めなかった小倉2歳S組は、将来性に疑問符がつく。やや引っ掛かり気味ながらも、最後まで押し切ったジュエルオブナイルのスピードと、安定したレース運びは認めるものの、クラシックうんぬんを語るまではどうだろう。
小倉芝1200メートルの新馬戦を制したアグネスティンクルは、最終週の荒れ馬場で1分9秒8なら、小倉開催デビュー馬の中では、上位5本の指には数えられる。
新潟マイルの新馬・メジロイングリットは、ラスト3Fを33秒9でまとめたとはいえ、1分38秒2はレベル的に? 新潟芝1400メートルで1分23秒9のサクラエクスプロー、札幌芝1500メートルで1分32秒3のワイルドラズベリーも、水準レベルには1秒足りないか。