ライブの内容は、漫才の新ネタ披露と、動画サイトで人気となっている「今日のいたずら」の新作披露。会場では「今日のいたずら」で使用した小道具を抽選でプレゼントする催しも行われるという。また、同時に昨年のツアーの模様を収録したトータルテンボス 20周年全国漫才ツアー2017『YAGYU』のDVDも発売され、今回のツアーチケットとセットになった特別チケットの販売もある。
今回はそんなトータルテンボスの2人を直撃。ツアーへの意気込みを聞いてきた。
—— 恒例のツアーがスタート。今回の見所などを教えてください。
藤田憲右:毎年そんなにコンセプトは変わらないんですけど、よりよい漫才を5本、6本やって、合間に僕が仕掛けられたイタズラ動画の「今日のいたずら」の新作を披露するという感じです。
大村朋宏:漫才はもちろん新ネタです。今回20か所でやるんですけど、中には何会場も足を運んでくれる人がいて、そういうファンの人たちには、その中でネタがブラッシュアップされて、どんどん変化していくのも楽しんでもらえると思います。
—— ネタはもうできているんですか?
藤田:それがまだできていないんですよ(笑)
大村:2本くらい本は作りましたけど、これから作っていく感じです。
—— ネタはいつもどんな感じで作っていくんですか?
藤田:基本大村が考えるんです。それを合わせていく段階で「こうしたらどう?」って2人で採用、不採用を話し合ったりして形を決めて、ライブをやってお客さんのウケとかを見つつ、また削っていくという作業でやっています。大村が言ったように、ツアーだと最初の会場でやったのと最後の会場でやった時では、設定だけ同じで中身ががらりと変わっているなんてこともあるんで、何度も足を運んでもらえると、その過程を楽しむことができると思います。
大村:去年はぶっつけ本番でネタをやったんで、最初の会場のときは3時間。次の会場では40分くらい時間を削ってなんてこともありました。
藤田:1時間分くらいブラッシュアップしたので、どちらも見てくれたファンの人なら、「あの箇所消えたんだ」って、そういう部分がわかって面白いと思います。
大村:ネタは20か所とか、これだけ会場を回るので、最初の会場に照準を合わせて作っていないんです。あくまで千秋楽に照準を合わせて完成させていくので、結構序盤なんかは、様子見みたいな感じでやったりします(笑)だから最初の会場は地元とか、それで許してもらえそうな場所を選んでやってます。
—— ネタを常に作り続けていくのは大変じゃないですか?
大村:これだけ年数重ねてくると、アイデアもさすがに枯渇してきます。最近じゃ、そういう意味で藤田にも種を出してもらうようにしています(笑)
藤田:俺は籠って何かやるのが実は苦手で……(笑)ものを作るのが苦手なところがあるんです。1を100に進めていく作業とか全く根気がないので苦手で。
大村:でも、アイデアマンではありますね。いろんなことを提案してくれたりするので、そういうところは助かります。
藤田:普段ネタやっている時に言い回しを変えたりしていく中で、ふと、これで一本ネタできないかなって漫才中にひらめいたりして、「こういうネタどうかな」って大村に提案したりすることとかあるんです。
—— ネタを作ったり、ツアーを回ったりする中で、ケンカをしたりなんてことはあるんですか?
藤田:めちゃくちゃありますね(笑)仕事のこととか、お互い、責任感とかありますから。まあ、今までは僕のプロ意識のなさに大村が怒るパターンが多かったですけど(笑)
大村:仕事のことが多いですね。まあ、しょうもないことでもケンカしますけどね(笑)
—— ケンカもありつつ、コンビの絆を深めてきたのはどういうところが大きいんですか?
藤田:やっぱり不満をためないことだと思います。若い時はひとつでもイラッとすることがあるとすぐぶつけるみたいな感じでやっていましたから。それでお互い話し合ってすっきりして。最近はお互い大人になりましたので、多少はためることもありますけど、ちょっとしたきっかけで吐き出してまた話し合いです。どっかで絶対に解散しないとか、こいつとは別れないというのが根底にあるので、汚い言葉でののしり合いがあったとしても、その後はちゃんとやっていけるんです。
—— 「こいつと別れない」ということは、トータルテンボスに解散はないということですね。
藤田:心の中ではそうなっています(笑)
大村:体が動く限りはやるでしょうね。
藤田:解散したら食っていけない恐怖もお互いどっかにありますし(笑)漫才は特にコンビでないとやっていけないので。
—— トータルテンボスにとってこれまでライバル視してきたような相手っているんですか?
大村:キャリア的に長くやればやるほど、そういうのは減ってくるんです。ほかを気にしても仕方がないって。自分たちの好きな感じを追求していこうって。面白いものは普遍的だと思うし、そういう意味でライブの場でのお客さんの反応の方が、自分たちの漫才が面白いと思ってもらえているかのバロメーターになっているところがあります。
藤田:悪い言い方をすればあきらめの40代なんです(笑)
—— あんまり過去にジェラシーを感じるような相手もいなかった?
藤田:いやいや、オレたちジェラシーのかたまりでしたよ(笑)
大村:後輩たちがぐんぐん来るとやっぱりね……。
藤田:最初、4年くらいかな、『はねるのトびら』(フジテレビ系)に出た頃は、そこで1年下のインパルス、ロバートや、2年下のキングコングとかが中心になっていましたから。あれはちょっと来ましたよね(笑)
—— 昨年結成20周年だったと思うんですが、ジェラシーのかたまりでありながらもコツコツやってきたトータルテンボス。ここからの10年はどんな方向性でやっていこうと思っているんでしょうか?
藤田:プランとかはないですよ。昔はゴールデンで冠持ちたいとかはありましたけど。やっぱりコツコツ結果を残していってとかそういう感じで考えています。
大村:こうしてツアーで全国を回るので、全国で各地方の局に僕らをアピールしていこうかなって考えたりもしています。ローカルを制覇していけば、結果的に全国ネットになるじゃないかって。そういうふうになれたらいいかなって。
—— 最後に、まだあまりお笑いライブに足を運んだ経験のない人にも今回のツアーのPRをお願いします。
藤田:あんまりお笑いライブに足を運んだことがない人にすれば、お笑いライブの入門には僕らはもってこいだと思いますよ。単純に見てみようで足を運んでもらって楽しかったで終われる内容になっているんです。入口にするなら絶対いいと思います。
大村:肩の力を入れて見る必要はゼロですからね。
藤田:会場に来るお客さんも女の子だけとかじゃないし、どの世代も、老若男女いるんで来やすいし、まぎれやすい(笑)見方としても難しいお笑いをやっている感じでもない。変なところで笑っていても全然変じゃないしOKです。
大村:食べ物屋に例えれば、お洒落なカフェという感じではない、本当にいつもやっている定食屋に来たような感じ。ホッとできる空間です。パジャマで来てもいいよくらいの感じ。ぜひ遊びにきてください!
(取材・文:名鹿祥史)