13日の両国大会で中邑真輔が外敵王者の武藤敬司にV4を許し、年内のベルト奪還計画が消滅してしまった新日プロ。中西学、真壁刀義、後藤洋央紀、中邑といったトップ戦士が立て続けに葬られた揚げ句、“ミスターIWGP”永田裕志はゼロワンの至宝を持っていることから挑戦できず、頼みの棚橋弘至もスランプのため海外遠征に出るとあって、かなり危機的状況に陥っている。
次なる一手がなく、チャンピオン武藤からは「マジで早く組んでくれ。こっちだってスケジュール組んでいかないといけないんだ。新日本から早くチャレンジャーと場所を用意してほしい」と圧力をかけられる始末。来春1・4東京ドーム大会で開催の次期タイトル挑戦者が不在とあって、同社の菅林直樹社長から「正直白旗をあげているような状況です」とまさかの“降参宣言”まで飛び出す異常事態だ。
武藤政権の倒幕に不穏なムードが漂う一方で、実は水面下で打倒武藤の急先鋒に白羽の矢が立っているのが蝶野。同社の某フロント幹部からは、にわかに「第3世代の大器にG1覇者、そして最凶ヒールに真のエースもダメだった。うちの脂ののったトップレスラーが軒並みやられた今、チャンピオンを倒すとしたら武藤選手を一番よく知る蝶野さんしかいない」との声が上がっている。
しかし、黒いカリスマは混迷のIWGP戦線に「もうギブアップした方がいいんじゃないか」とまるで他人事のようにうそぶく。あまり興味がないのか「今、オレはベルトに対する執着心がない」と武藤との三銃士対決に消極的な姿勢。
蝶野が武藤戦にすんなりGOサインを出さないのには理由がある。10月24日と25日にスーパーバイザーを務める「プロレス・エキスポ」(東京・両国国技館)の開催を控えているからだ。それでも蝶野は「すべては平和の祭典エキスポが終わってから。終わったら何かが見えてくる」と意味深メッセージ。さらには「ドームは意味のあるカードじゃないと出ない」と言ってほくそ笑んだ。
果たしてこの先、黒いカリスマがタイトル戦線に名乗りをあげることはあるのか。武藤と共に三銃士で一時代を築いてきたキーマンだけに今後の動向に注目だ。