環境省は今年から、「スーパークールビズ」に加え「女性のクールビズ」を推奨し、服装などの例を新たに提案したのだが、汗や臭いへの対策として挙げた“香り付き柔軟剤の使用”に苦情が殺到したのだ。
「蒸し暑く体臭が気になるこの季節、臭いを抑制する柔軟剤や制汗剤が飛ぶように売れていますが、実はこの“香り”で頭痛や吐き気、めまいなどの拒否反応を起こす人が急増している。そのため、環境省の発表に市民団体が反発、撤回を求めたのです」(社会部記者)
これを受け環境省は「香りと健康被害との因果関係は明らかではない」としながらも、6月7日にはホームページの推奨文を削除した。
この“香り”に対する拒否反応は、「化学物質過敏症」の1つとも言われている。
「大気中にはクルマの排気ガスが漂い、室内の空気は建物や家具から放散される防腐剤や接着剤、塗料の成分などで汚染されるなど、私たちは知らず知らずに化学物質を体内に取り込んでいます。体は解毒機構や自律神経、免疫機構によってこれらに適応しようとしますが、体質によっては能力を超えてしまい、様々な拒否反応が現れる。これが化学物質過敏症なのです」(健康ライター)
NPO法人「化学物質過敏症支援センター」には、柔軟剤の香りがきっかけで光に過敏になり、暗い部屋に閉じこもるようになったという患者の相談も寄せられたという。
「化学物質過敏症の患者は全国に70万人いることが分かっているのですが、そのメカニズムや原因に関しての研究資料が少なく、医学的に確立された疾患概念ではないため、まだ認知度も低い。それもあって、症状が出ても周囲に言えない患者も多くいます。しかも、一度発症すると完治しづらいという厄介な面もある。やはり国を挙げての推奨は早計だったのでは」(同)
そもそも芳香柔軟剤が節電につながるのかが疑問。