顎を引き、肩の力を抜く。そして背筋を伸ばし、軽く膝を伸ばすとよい。ここで前かがみになって腰を曲げて歩いていては、腰痛の原因ともなりかねないので要注意。
タオルを両手で握って軽く頭の上に伸ばし、そのままゆっくり頭の後ろに降ろす。そして、そのままの姿勢で歩くのが胸を張った正しいフォームだ。
また、すり足で歩くと地面に転んだり、思わぬケガのもとなのでしないこと。カカトから着地し、足裏全体で地面に着くようにして、足先で地面を蹴って歩くようにしたい。
腕はもちろん前後に振るが、前方に突き出すのではなく、軽く後方に引きぎみすると、胸を張った姿勢になる。
先に述べた、「鼻歌を歌うのがややきついウオーキング」とは、身体で消費する酸素摂取量で表すと、最高酸素摂取量の70%程度である。
最近の研究で、最高酸素摂取量の70%を超える強度の運動を週60分以上実施するインターバル速歩が最も効果的であることがわかっているのだ。
とはいえ、インターバル速歩ができる環境にいる人はいいが、今の季節、雪に埋もれてそうはいかない人ももちろんいる。そういう人はどうすればいいのか。田村氏は言う。
「『ショッピングセンターリハビリ』という健康法も米国にはあります。たとえば、ミネソタのUSAというショッピングセンターは、色のついたテープがフロアに貼ってある。そして赤なら5000歩コースとか、青なら7000歩、黄色は1万歩というように、自分が歩こうと思う距離別にテープが貼ってあるのです。センターの客はショッピングに来たついでにウオーキングをして帰る。日本ではテープはないかもしれませんが、昨今は巨大なショッピングセンターがあちこちに建設されている。ここなら交通事故に遭うこともないし、利用しない手はありませんからね」
最後にインターバル速歩のポイントをまとめてみると−−。
(1)速歩きの1日の目標はトータル15分。
(2)インターバルの長さは人それぞれ自由に。疲れない程度に休みを取る。
(3)継続することが大切。
(4)速歩の際には、足に十分な負荷がかかっていることが重要。
(5)競歩に近い自分の最も速い歩きを100%とした時、その70%が“速い”ペースで歩くときのスピード。
(6)競歩に近い自分の最も速い歩きを100%とした時、その50%が“普通”のペースで歩くときのスピード。
インターバル速歩は日本全国どこにいてもできる健康法だ。
「これまでの研究で、持久力、筋力が高いほど生活習慣病の発症リスクも低いことがわかっている」(前出の研究者)
というように、インターバル速歩を実践していれば、生活習慣病やメタボ、そして寝たきりの生活とは無縁でいられるのだ。「俺はまだ高齢者ではない」などと嘯くのではなく、40〜50代のあなたも明日から実行してはどうだろうか。