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熊谷「水よし」

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提供:週刊実話

 抜群に旨いホルモン焼きにビックリ。とにかくどれも新鮮で、また独特なタレに驚かされた。熊谷の夜は楽しい、ここの住人になりたいと思った。

「熊谷にメッチャ旨いホルモン焼き屋があるんですよ。今度一緒に行きませんか?」
と、ある会社のボンボン社長。

 それから数ヶ月後、社長の奥さんと3人で熊谷へ旅立った。18時半北口に降り立つと、いまどき珍しいアコーディオン弾きのオジさん。その姿を横目で見ながら10数分歩くと「水よし」が現れる。
「いや〜賑やかでいい雰囲気だね」

 店内は超満席。客の喜びに満ちた顔、この店には華がある。
「適当にたのみますね」

 まずはスーパードライで乾杯。肉を食らう前に「サラダ」、「キムチ」、「お新香」をいただきながら下準備。
「このタレが抜群に旨いんですよ」

 ドロっと粘性のある茶褐色のタレ、味見をすると非常に旨い。
「ラーメン用の味噌の元ダレみたいで、まったく甘味がなくてこれ美味しいよ」
「でしょう。こんなタレ他にないでしょう」

 確かに見たことがない。一般に焼肉屋やホルモン焼き屋は大体が醤油ベースで、なおかつ甘味料がけっこう添加されていて甘すぎる店もある。そんなときは醤油を出してもらうことがたまにある。いずれにしてもこのタレはスグレモノだ。

 そして、でで〜んと登場したのが「ハラミ・ホルモン・レバー・タン」の盛り合わせ。それを適当に七輪に乗せて焼き始める。煙がもうもうと立ち込めるこの風情がなんとも言えない。

 香ばしく焼けたホルモンを軽くタレに浸してパクリ。
「ホルモンも新鮮だし、このタレ合うね、やっぱ旨いわ〜」

 どのモツ、肉も鮮度がいい。この界隈の屠場と言ったら「大宮駅」と「さいたま新都心駅」の中間にある「大宮屠場」しか思い浮かばない。そこから仕入れているのか? いずれにしても朝方新鮮なものを仕入れてきて、その日に提供しなければこの味は出せないはず。東十条の「埼玉屋」のモツ焼きを思い出す。

 第2皿目は「和牛カルビ・ホルモン」を注文した。和牛カルビも文句なし。さらに「豚汁」もこれまた旨し。
店内は家族連れ、友人、カップルがわんさか。隣のカップルが自撮り棒でパチリ、
「あ〜、ちゃんと獲れないよ」
「取りましょうか?」
「お願いします、この自撮り棒なんかヘン」

 カップルかと思っていたら、姉弟だった。2人ともベロンベロンで、隣の行田から来たらしく3時から飲みっぱなし、そりゃ酔っ払らうはずだ。しかしある程度の年齢がいって姉弟で仲良く酒を飲むなんて珍しい。
「この近所に『奉天』ってホルモン焼き屋があって気になってるんだけど、そこ知ってます?」
「まだ行ったことないですけど、あそこもいつも混んでますよね」
と弟。来る途中で見かけた「奉天」をちょっと覗いたら満杯だったので気になっていた。

 いずれにしても「水よし」は抜群にいいホルモン焼き屋だ。賑やかで、華があって、美味しくて、熊谷の人が羨ましい。ちなみにランチもやっているようで、また夜は予約したほうがいいだろう。

 どこの街も飲食店はだいたい一箇所に固まっているものだけど、熊谷の場合は飲食店がまばらに点在しているのが不思議。しかし熊谷は遠いね。今度この店に来るときは、どこかの宿をとってゆっくりしたいものだ。

〈店舗データ〉
【住所】埼玉県熊谷市星川1-13
【営業】11時30〜22時
【休日】火曜日
【アクセス】JR「熊谷駅」北口から徒歩13分

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