彼は憑依型俳優と言われる。憑依型とは、別のもの(人)が身体に入る体質のこと。文字通り、演じる役柄が乗り移ったように自分が変化してしまうタイプ。
彼の演技を見ていると役が憑依するように降りてくるような感覚を感じる。変幻自在に化けて見せる俳優だ。
素顔のケンイチは出身地の青森弁で喋る実に素朴な青年だ。むしろ無個性白紙な人間と言ってよい。常にエンプティーな状態だからこそ色んなものが入ってきやすいのだろう。霊媒体質の人は憑依型が多いという。
松山ケンイチは青森県むつ市出身。むつ市は青森県東北部下北地方に位置し日本三大霊場の恐山がある。恐山というえばイタコというシャーマンがいることで有名だ。
イタコは、死者の霊などを自分の身体に降ろして語らせる。そのような霊的な土壌で育った彼は何か霊媒体質を備えているのかもしれない。
最初モデルとしてデビューしたケンイチ。しかしモデルの仕事には魅力を感じていなかったらしい。その後、俳優の仕事を始めても興味を持てずバイトばかりしていたという。
18歳の時、映画『ウィニング・パス』で初主演を経験。スタッフ一丸となって作品を作る事に面白さを感じて俳優業に目覚めた。
その後、めきめきと頭角を現し、『デスノート』で神がかった推理力を持つ謎の名探偵L役で大ブレイクした。
猫背で目の下に異様なクマがあり、独特の間をおいた喋り方をする。ケンイチ演ずるLで彼のファンになった者は多い。『デトロイト・メタル・シティ』や『カムイ外伝』など話題の映画で個性的な役を演じてきた。
永作博美と共演した『人のセックスを笑うな』では本当に永作に恋をしていたようで、ポケットに永作の写真を忍ばせていたのだとか。
ケンイチ自身、今は俳優になって良かったと思っているそうだ。弱冠25歳にしてすでに老成した感のある松山。現在は8歳年上の女優の小雪(交際のきっかけは共演映画『カムイ外伝』)と交際中。
将来の夢は子供を作る事のようなので、小雪との結婚もそう遠い将来ではないかもしれない。
最新作の主演映画、12月11日公開の村上春樹のベストセラー小説を映画化した『ノルウェイの森』。その作品のヒット如何によって彼の今後は決定づけられるだろう。
(空上 小夜 山口敏太郎事務所)
参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou