サラブレッドは、健康なら20歳すぎまで種牡馬を続け、長ければ30歳前後まで生きるというが、ディープは17歳。早世と言わざるを得ない。
原因は頚椎の不調だった。今年の2月に首の痛みを訴え、種付けを中止。7月28日には首の手術を行い、成功していた。
ところが、29日になって容体が急変し、起立不能状態に。改めて行った検査で頚椎の骨折が判明し、回復の目処が立たないことから安楽死の処置が取られた。
全国の競馬関係者やファンから惜しむ声が上がる中、種牡馬が首を故障するのはレアケースであるため、「種付け頭数が多すぎて死期を早めたのではないか」という意見も出始めた。
「ディープは種牡馬デビューした'07年以降、毎年ほぼ200頭以上、最多で262頭の種付けを行っていた。種付けは、春先の数カ月に集中して行われるため、1日に2頭程度を連日こなすことになる。仕事とはいえ、相当な負担があったはずだ」(専門誌記者)
同馬を管理していた社台スタリオンステーションの関係者は、スポーツ紙の取材に対し、「種付け頭数に起因しているのでは、と言われれば、そうかもしれない」と、因果関係を示唆した。
ちなみに、ディープインパクトの種付け料は国内最高額の4000万円。単純計算で、年間100億円近い「稼ぎ」があったことが推測される。
人間のためにせっせと種付けに励んだ揚げ句、早死にしたとすれば切ない話だが、人気種牡馬ともなれば年間200頭以上の種付けをこなすことは珍しくなく、それが絶対的な要因とは言い切れない部分もある。
ディープインパクトの父のサンデーサイレンスも歴史的種牡馬だったが、16歳でこの世を去った。“サンデーの最高傑作”と言われたディープだけに、短命も受け継いだのかもしれない。