朴はドジャース、レンジャーズなど7球団を渡り歩いた。ド軍時代には5年連続2ケタ勝利もマークしたが、近年ではリリーフでの登板も多くなってきた。
米メディア陣の1人がこう評する。
「球速が著しく衰えたということはありません。内外角に変化球を散らす技巧派に変わりましたが、90マイル(約145キロ)以上は出ていました。スタミナ面では年齢的な衰えは確かにあるかもしれません。でも、先発責任イニングの5回なら…」
イ・スンヨプが千葉ロッテから巨人に移籍した06年、韓国TV局が巨人戦の放映権を購入している。その後、イ・スンヨプが二軍落ちし、契約更新はされなかったが(年度契約)、チーム関係者によれば、「内海(哲也)など何人かの20代選手も韓国メディアから取材を受けた」という。それなりの相乗効果はあったわけだ。
「オリックス本社は韓国の銀行を買収しています。アジア市場における事業実績はもちろんですが、李、朴両人気選手のダブル獲得は本社の市場拡大の狙いもあったのでは?」(経済ジャーナリスト)
しかし、朴賛浩の配球術は別の意味でもクローズアップされそうだ。
朴は『2年連続与死球王』(01〜02年)でもある。若手時代は威力のあるストレートで押しまくり、30代前後からは相手打者の身体をかすか否か、ギリギリのところに“高速変化球”を投げ込んでいた。性格的にも「熱いタイプ」なので、シーズンを通して先発ローテーションを守った年は、100強の四球も与えてしまうのだ。オリックス入りしても、この「攻めの投球スタイル」は変わらないだろう。
そうなれば、乱闘に発展しかねないが…。
「岡田監督も熱くなりやすいタイプですからねえ…」
プロ野球解説者の1人がそう言う。
岡田監督は2010年、感情的なコメントも発していた。その理由は「チームのレベルの低さ」とも言われている。オリックスは選手の新旧交代の時期であり、仕方ないことなのだが、「強い阪神」で指揮を執ってきた岡田監督は我慢できなかった。仮に負けが込んでいたとき、朴の際どい投球で両軍入り乱れた状態になったら…。岡田監督は理性を完全に失ってしまうかもしれない。
「岡田監督は『ダメだ』と思ったら、見限るのも早い。2010年開幕戦で4番のカブレラのワガママを許さず、スタメンから外しました。今オフ、何人かのコーチも入れ換えましたが、岡田監督の方針に合わなかったからです」(在阪メディア陣の1人)
また阪神指揮官だったころ、岡田監督は巨人の4番に入った李承を指し、「外角の変化球が打てない。そこに投げておけば…」とコケ下ろしている。その指摘は間違ってはいなかった。事実、イ・スンヨプは外角を意識しすぎるあまり、インコースまで打てなくなってしまったという。
そのイ・スンヨプを再生することができるのか、否か…。朴賛浩も近年、先発投手として実績を上げていないだけに、韓国ファンの朴復活への思いは強い。岡田監督の手腕と言動にも韓国メディアの注目が集まりそうである。