監督/サイモン・ベーカー
出演/エリザベス・デビッキ、サムソン・コールターほか
夏の風物詩映画は、年上人妻との“ひと夏の体験”もの。その代表作が名作『おもいでの夏』(71年)。これにサーフィン映画の傑作『ビッグ・ウェンズデー』(78年)を加えたような新作だが、『おもいでの夏』の清楚なジェニファー・オニールに比べると、こちらの美人妻エリザベス・デビッキは結構エロいのがポイント。
70年代、オーストラリア西南部の小さな町に住む内向的な少年パイクレット(サムソン・コールター)とその友人は、サーフィンを教えてくれた男性と仲良くなり、彼が妻のイーヴァ(エリザベス・デビッキ)と住む家にも通うようになるが…。
友人とサーファー師匠はますます波に魅せられて遠征する中、取り残されたような青く若い主人公と女盛りの人妻が結び付くのには時間がかからない。こういう場合、年上女性が主導権を握るのは当然のパターンだね。夫らが留守中、意を決したように少年を自宅に招き入れるイケナイ人妻は、導くように「抱いて」「優しくして」と手ほどきする。とにかく、ヒロインのエリザベス・デビッキがセクシー一番。長いパツキンをなびかせ、抜けるような白磁の肌を見せつける。シャワーでの背中ヌードもゴチソウで、オーストラリアの夏の爽やかな海風を一気に“淫風”に変えるほどの威力あり。
少年も年上人妻の手ほどきがよかったのか、無我夢中の最初から次第に場慣れしてきて、人妻をのけぞらせるまでに成長する。おいおいボーヤ、サーフィンより覚えが早いんじゃねーか、と冷やかしたくなるほど。
次第に行為がエスカレートしてきた彼女、何とビニール袋を持ち出しての“窒息プレイ”とは絶句してしまうが、こういう“美しき変態”さんはキライじゃないよ。彼女はかつてはアルペンスキー選手で、試合中のケガで選手生命を断たれたという設定。スキーに代わる“命がけのプレイ”がこれなのか。参ったね。少年がさすがにドン引きしてしまうのは分かるような気がする。
年上人妻とのめくるめく陶酔の接近遭遇は、いつの時代でも若年男子の本懐だが、時にはこういう“美しき変態”の年上女性もいるわけ。だからといって、そこで幻滅し、「大人は汚い」、「女はこりごり」と誤解してヘンな方向に走らないように、なあ、少年! と老婆心ながら諄々と諭したいほど。「♪人生いろいろ、男もいろいろ、女もいろいろ」と、島倉千代子も歌っていたではないか。
《映画評論家・秋本鉄次》