A:夕食から寝るまでの間隔が短いと体によくありません。
なぜなら、食べたものが胃で消化吸収されるのに3〜5時間はかかります。睡眠中は臓器や神経の働きや血圧、血液循環は低下しますが、胃に物が入っていると、胃は消化のために働かざるを得ません。
そのため、熟睡できません。脳は眠ろうとしていても、体はよく眠れないという状態となり、眠りが浅くなります。朝起きたときに胃がもたれることもありますが、それは胃が消化に負担を強いられた結果なのです。
食べてすぐ寝る習慣を長年続けると、様々な病気を発症するリスクが高まります。食後は消化のための胃酸が活発に分泌されます。食べてすぐ寝ると胃酸が逆流し、逆流性食道炎のリスクも高まります。
また、食後は血糖値が上昇しますが、起きて活動しているなら、血糖値は自然に下がってきます。ところが、食べてすぐ寝ると、睡眠中も血糖値が高い状態が続いてしまいます。摂取したカロリーがそのまま体内に蓄積されて、肥満を招く一因ともなります。
●早い時間に軽く食べよう
最近では、スペインの研究グループが、早めに夕食を摂る、または、夕食から就寝まで2時間以上空けることが、乳がんと前立腺がんの発症リスク低下に関連すると発表しました。午後9時までに夕食を摂った人と、午後10時以降に摂った人とを比べても同様の結果とのことです。
夕食から就寝までは最低でも3時間は間隔があることが望ましいと言えます。ご質問の方は、今は特に病気はないようですが、年齢的に今後も今の習慣を続けると、体調を崩したり病気になったりするかもしれません。
仕事の都合で夕食が遅くなるとのことですが、夕方に軽く食べておき、帰宅後の夕食は軽めにするように切り替えたらよいでしょう。
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山口康三氏(回生眼科院長)
自治医科大学卒業。眼科医、漢方内科医。食事、運動、睡眠などを改善する生活改善療法を指導し、眼科の病気や生活習慣病の治療に成果を挙げている。日本綜合医学会副会長。