童話から懐かしの漫画やアニメ、人気のテレビ番組を題材にしているため、子どもはもちろん大人でも親しみやすく、クスッと笑ってしまうシュールなやりとりが魅力の本作。監督の新海岳人氏は、「文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門」奨励賞をはじめ多くの賞を受賞しているクリエイターである。
アニメに命を吹き込むのは、松竹芸能所属の芸人、なすなかにし(那須晃行・中西茂樹)、うしろシティ(金子学・阿諏訪泰義)の2コンビ。そんな彼らを声優の小野賢章らが引っ張り、しっかりとしたチームワークで番組が成り立っている。
今回は、8月16日に開催された『あはれ!名作くんショップ inイオンレイクタウンmori』キャストトークショー&ハイタッチ会後にインタビューを敢行。同アニメの思いや知られざるエピソードなどを語ってもらった。
ーーイベントには多くの人が来場されていましたね。振り返ってみていかがですか?
那須:あんなにたくさんのお客さんが入ってくれるなんて想像を超えてきたというか、すごくありがたかったですね。
小野:これまでも出演者インタビューなどを受けてきましたけど、その時と変わらないボケ合戦になりました。それをたくさんのオーディエンスがいる前でやったイメージです。
ーー大人の方も多かった印象があります。
中西:女性も多かったですけど、みんな僕の方を見ていましたね。
一同:笑
ーー「あはれ!名作くん」は、同番組のアニメ部門でも人気が高く、公式YouTubeチャンネル視聴数は累計で数千万回以上となっていますが、その要因は何だと思いますか?
新海監督:僕的にはもっと人気じゃなきゃ困るので、成長が止まってしまうようなコメントは出せません(笑)。まだ「足りないな」と思います(笑)。
阿諏訪:今の監督の言葉を聞いてピリッとしました。今日の声援を聞いて“できすぎ”くらいに思っていたので(笑)。
金子:アニメをご覧になっているとは思っていましたけど、実際に観ている人とお会いすることってそんなにないじゃないですか。だから、今回のイベントの声援にはびっくりしましたね。
中西:話を戻すようですけど、お客さんは僕を見ていました。
那須:ちゃんと答えなさいよ(笑)。
新海監督:ただ、1年目より2年目、2年目より3年目の方が「面白くできているな」とは思っています。最近は自由度が増して笑いの量も多くなっているので、ファンの方も増えてきているのではないかと思います。
ーープレスコ方式(先に声を収録する手法)を採用されているそうですが、キャストの方はアドリブも入れたりするのですか?
那須:(小野)賢章くんが入れてくるんですよ。本当に迷惑です!
新海監督:小野さん直後のセリフは那須さんのことがほとんどだから、いつも笑っちゃってますよね(笑)。
金子:最近、アドリブのお任せスペースがあるんですよ。チャレンジ枠……と言えば聞こえはいいんですけど「台本作っているヤツ手抜いてねーか?」って思います。
ーー漫画やアニメをいわゆるパロディにしていますが、NHKだと規制が厳しそうなイメージがあります。そのあたりはいかがですか?
新海監督:一応ラインはありますけど、かなり自由にやらせてもらってます。
那須:原作の声(※編集部注 『あはれ!名作くん』では、原作のアニメをパロディ化し、本家の声優がゲスト出演することがある)をされていた方がゲストに来られたりするので、すごい緊張感が生まれるんですよ…。
一同:爆笑
ーー(笑)。小野さんは芸人さんとやってみていかがですか?
小野:本番終わった後の立ち振る舞いを見ています。中西さんがNGを出した後「あ、そっちの方向ですか」って言うところとか。
中西:めっちゃ恥ずかしい……。
ーー3年間一緒にやってきたことで生まれた変化や失敗談、または視聴者の方に観てほしいポイントなどあれば教えて下さい。
那須:最初の頃よりもみんなの息が合ってきていますね。「ここは食い気味でいった方がいいだろう」とか、それぞれが思うようになってきている。そこはだいぶ変わった感じがしますね。
阿諏訪:みんなで同じセリフを言う時って、必ず小野くんが「せーの」って先導してくれるんです。今後アニメを観ていて数人が声を合わせるシーンがあったら、その前に「小野くんが“せーの”って言っていたんだな」と思っていただければ。
中西:アニメの最後は(那須が演じる)名作くんのツッコミで終わることが多いのですが、あそこは那須くんがイントネーションを変えたり、腹の底から声を出したりして全力でやっているんです。なのに、監督から「もう1回普通にやってもらっていいですか?」と言ってくる時がありまして。那須は相方でもあり従兄弟でもあるので、自分はお兄ちゃんとして「新海さんそれはないやろ」と。ウチの親戚なんや思ってんねんと。
一同:爆笑
金子:収録では毎回いろいろなことがあるんですけど、録音してない時のボケがいらないんじゃないかと思うんですよ。大勢のゲストがいる時に中西さんと僕でマイクをシェアするんですけど、セリフを喋った後、中西さんが全然どかない。そんなボケとか作品と関係ないじゃないですか。アニメに残るならいいですけど、本当にその場だけのボケ(笑)。
小野:僕が失敗したことは、2時間遅刻したことです……。
一同:あった! みんな連絡してつながらなかったもん!
小野:目覚ましがかかっていなかったのと、携帯もサイレントにしていて、本当に猛省しましたね。
金子:現場に来た時本当に申し訳なさそうな顔して缶コーヒー持ってましたからね……どこで買ったん!
那須:うしろシティがやってたコントとまったく同じ設定のことがあるんだなって。
新海監督:作品としては小学生向けのアニメなので“フリガナ”をふらないといけないんですけど、結構「これ読めるだろ」みたいな漢字も「ふってほしい」って言われるんです。そこを毎回交渉しているので、是非テロップに注目してほしいです(笑)。
(インタビュー終わり)
大人でもハマる人続出の「あはれ!名作くん」。リアルタイムで視聴できなくても、公式YouTubeチャンネルやAmazonビデオといったオンデマンドでも放映しているので、ぜひチェックしてみてほしい。