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【声優の履歴書】第15回 声優界に“永遠の17歳”を広めた井上喜久子

 声のお仕事である『声優』。顔の見えない裏方のお仕事でありながら、近年はアイドルとの垣根がなくなって来ており、バラエティー番組や、歌番組などに出演することも珍しくなく、注目度が増している職業である。そんな人気声優をフィーチャーするこの連載。第15回目としてお届けするのは井上喜久子。

 デビューした翌年の1989年に、高橋留美子原作・TVアニメ『らんま1/2』の天道かすみ役でブレイク。その後も天道かすみの様な穏やかでおっとりした女性や、母性的で優しい女性役を多く演じる。本人曰く自身もおっとりしており、その更に翌年に演じた珍しくきつめの口調で喋る『ふしぎの海のナディア』のエレクトラには少々苦労したという。そして1993年のOVA『ああっ女神さまっ』のベルダンディーで遂に大ブレイクを果たす。現在は役の幅を広げ、大人気ゲームシリーズ『サクラ大戦3 〜巴里は燃えているか〜』のロベリア・カルリーニなどのクールな役や、ガンダムに並ぶ人気シリーズ、TVアニメ『マクロスF』のグレイス・オコナー役などの悪女、TVアニメ『キャプテン翼(第3作)』の主人公・大空翼の少年時代などの少年役もこなす実力派の一人である。

 井上といえは、声優界に「永遠の17歳」を自称する“17歳教”を布教したことでも有名である。これは初め、井上がネタとしてイベントやラジオで言っていたことであるが、徐々に他の声優も使うようになり入会者も増えファンの間でも有名になった。近年は井上の芸歴が17年を超えてしまったのだが変わらず使い続けており、もはや井上の名物となっている。

 愛称の一つに「お姉ちゃん」というのがあるが、これは井上が2人姉妹の末っ子であり、そう呼ばれることに憧れたからである。1999年には声優事務所・江崎プロダクションから独立し、現在は実姉であり女優・声優の弥生みつきと事務所・オフィスアネモネ設立し、井上が事務所の看板声優を務めている。デビュー20年周年の2008年には「お姉ちゃんの20th SUPER SMILE MEMORIES☆」が開催され大勢のファンに祝福された。これからも変わらず第一線での活躍を期待したい。

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