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オリンピックに『野球・ソフト』が復活するには(前編)

 リオデジャネイロ五輪の開催直前に予定されているIOC総会(同地)で、次回・東京五輪の追加種目が決定する。それと同時に、こんな声も聞かれるようになった。「野球・ソフトが有利になった」−−。その根拠は候補の5種目18競技をいっぺんに決めるパッケージ式になったからだという。「パッケージ」による可否だと、なぜ、野球・ソフトが有利になるのだろうか。
 「平たく言えば、追加競技5種目(18競技)を1つ1つ話し合っていくとしたら、野球・ソフトは落選の可能性が高かったんです。東京五輪組織委員会はそれを防ぐため、5種目を一括で話し合ってもらえるよう、IOCと交渉してきたんです」
 こうした証言が野球担当ではなく、政治担当の記者団から聞こえてくること自体、アヤシイのだが…。

 5種目を1つ1つ審議していくとする。その場合、野球・ソフトで必ず指摘されるのが、最高峰のメジャーリーグが非協力的なこと。世界的に見て、競技者人口がさほど多くなく、地域的な普及で見ても、ばらつきがある。「観戦者人口」という点においては、IOCはテレビ視聴率の数値も重要視するという。世界的に見れば、野球・ソフトは視聴率が取れない。これらのマイナス点が挙げられた時点で、『落選』となるわけだ。
 「オリンピックを支えているのがテレビ放映料であり、CMなどの広告収入です。野球はその競技の特徴から、試合時間が読めません。いつ終わるのかはもちろん、CMを挟むタイミングをはかるのも難しい」(米国人ライター)
 しかし、東京五輪の組織委のホンネは「野球・ソフトを当選させてくれ」なのだ。国内ならば、チケットは確実に売れる。テレビ視聴率も稼げる。主催国・日本の大きな収入源にもなる。

 また、野球が公式種目だった北京五輪でのこと。同大会で国内最高視聴率を記録したのは、野球だった。諸外国で野球人気があまり高くないのは分かっているが、主催国・日本とすれば、「確実に収益を挙げられる競技を無下にしないでくれ」との思いがあり、その意向をIOCに“理解”させた。それが候補の5種目18競技を一度に審議するパッケージ式だったわけだ。組織委は水面下で一括審議を働きかけていた。その要望は叶えられたわけだが、野球・ソフトの当選にまだ不安を抱く関係者が多いのはなぜだろうか。(スポーツライター・美山和也)

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