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名医・博士の健康術 ★今週のテーマ 好調を保つ食事術

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提供:週刊実話

「何を食べるか」よりも「いつ食べるか」が重要だった!!“朝からバリバリ動ける体調”を維持するワザ

 前回では、同じ食事内容でも、時間を意識して食べることで肥満などを防ぐことができる「時間栄養学」について取り上げたが、何をどの時間帯に食べれば最大限の効果が得られるのだろうか。「時間」という観点から医学、栄養学、調理学といった領域にアプローチすることを専門とする理学博士の古谷彰子先生は、次のように述べている。

「朝からバリバリ動ける体調を維持したいのであれば、体の生活リズムを整える『体内時計』をしっかりと働かせることが大事です。人間の体内時計は1日ごとに、私たちの24時間生活にリセットさせる必要がありますが、そのために最も効果的なのが光を浴びることと起床後にしっかり朝食をとることです。なおかつ夕食と朝食の間に『絶食時間』を確保することも体内時計のリセットにつながります。夕食から朝食までの絶食時間は10〜12時間あれば問題ないですが、どうしても夕食が遅くなってしまう場合には、分食(詳細は後述)も有効です。そして、食事の内容は1つの食材だけに偏らず、炭水化物(糖質)やタンパク質、脂質などをバランスよく食べるのが大事です」(古谷先生)

★朝はGⅠ値が高い食品を
 様々な栄養素の中で、体内時計を前に進める効用があるのが米やパン、麺類といった炭水化物だ。最終的には「糖」になるので「糖質」とも呼ばれ、食品に含まれる糖質の吸収度合いを示した数値を「GⅠ値」という。GⅠ値が高い食品ほど、食後の血糖値は上がりやすくなる。

 急激な血糖値の上昇は、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めるので、近年は「糖質制限」がダイエットの主流になっている。そのせいもあってか、血糖値の上昇がゆるやかな低GⅠ値の食品のほうが健康によいイメージがある。しかし、「体内時計を動かす」という点では、朝食にGⅠ値が高い食品が理想的だと古谷先生は説く。

「糖質を制限しすぎると、血糖値や中性脂肪値が下がり、体重も落ちていきます。GⅠ値が低い食品は、使い切れなくなった糖を脂肪に変えて蓄える働きがあるインスリンの分泌をゆるやかにする作用があるので、ダイエットには適しているといえます。だが、マウスを使った実験では、インスリンの分泌が盛んな食品(GⅠ値が高い食品)のほうが体内時計をリセットしやすいという結果が出ました。そのため体内時計を前に進めたい朝の時間帯は、GⅠ値が高い食品のほうがお勧めです。一方で、体内時計をあまり動かしたくない夜の時間帯は低GⅠの食品のほうがよいのです」(古谷先生)

 何となく低GⅠのものを食べ続けたほうがよさそうにも思えるが、それだと体内時計の働きを無視することになる。そうなると生活のリズムが崩れて肥満になる可能性もあるので「朝は高GⅠ食品、夜は低GⅠ食品」と分けることが大事だ。

★ツナサンドが朝にお勧め
 GⅠ値が高い食品には、精白米やうどん、パンといった主食類、とうもろこしなどの穀類などがある。これらを朝の時間帯に食べると、体内時計を朝型にリセットしてくれる。次に脂質と体内時計の関係に注目すると、特にお勧めなのが魚油で、効果が大きいだけでなく即効性も見込める。

「魚油が体内時計を大きく動かすのは、インスリンが出やすいからです。マグロ(ツナ)の魚油は最も体内時計を動かす効果があることが、実験で明らかになっています」(古谷先生)

 一方、体内時計を動かしにくいGⅠ値が低い食品には、玄米やそば、ライ麦パン、押麦などがある(雑穀類が苦手な人は白米に混ぜて食べるだけでもGI値を下げることができる)。これらは、夜遅くに夜食としてとらなければならない時に重宝する。「体内時計を動かさないから悪い食材」というわけではないので、ケースバイケースで食べていこう。

 以上の流れを踏まえると、体内時計をリセットするための理想の朝食は「魚をおかずにした献立、特にマグロ」ということになる。炭水化物では米や小麦などが効果大なので、パンにツナを挟んだ「ツナサンド」がお勧めだ。また、他の魚にも体内時計をリセットさせる力があるので、「ご飯+焼き魚」という組み合わせもいい。最近はレンジで加熱するだけで食べられる焼き魚もコンビニなどで売られているので、「魚を焼くのは面倒」という人は積極活用していこう。

★絶食時間の確保が重要
 次に1日の食事量の比率だが、日本人は朝食よりも夕食を多めにとる傾向にある。アンケート調査でも、朝食・昼食・夕食の割合が「2:3:5」という人が多かった。しかし、夕食に比重が偏りすぎると、翌朝までの「絶食時間」を長く確保しなければならない。そうなると適切な朝食の時間のタイミングがズレてしまい、夜型を誘発させる。「朝」と決めた時間帯にしっかりと食べることが、体内時計に「朝」と認識させる第一歩となるのだ。

「できれば『4:3:3』『3:4:3』、少なくとも『3:3:4』にするべきです。『朝も忙しい、夜も忙しい』と言って夕食に比重が偏ると、結果的に夜型になってしまうので、気をつけないといけません」(古谷先生)

 つまり、「夕食は朝食よりも少なめで、なおかつ19〜20時(就寝3時間前)までにすませると、翌朝までの絶食時間がしっかり確保できる」ということになるが、「そんなに早く帰れない」という人も多いはずだ。そんな場合には、夕食を2回に分ける「分食」がお勧めだ。もちろん夕食の総量は増やさず、1回の食事量を2回に分けて食べる。

「例えば、19時に夕食の半分を会社などで軽く食べて、残り半分を家に帰ってから食べるようにすると、体内時計は乱れにくくなります。残業で帰宅が遅くなるような場合は、19時の夕食で主食(炭水化物)を先にとり、家に帰ってから主菜(肉、野菜など)を含めたおかずを食べてみてください。炭水化物は早くエネルギーになるので、ダラダラ残業も防いでくれます」(古谷先生)

 食事は食べる時間帯によってプラスにもマイナスにもなるので、自分なりに「時間栄養学」を考え、年末年始の多忙期を乗り切ろう。

◉主な食品のGⅠ値高低目安
高い(70以上):白米72、もち85、食パン91、フランスパン93、うどん80、コーンフレイク79、とうもろこし75、すいか72
中(69〜56):ベーグル68、クロワッサン67、レーズン64、イチジク(ドライ)61、ハンバーガー66、ゆでたスパゲティ58、キウイ58、ハチミツ58
低い(55以下):玄米50、ゆでた押麦46、ライ麦パン50、ゆでたじゃがいも49、ゆでた白えんどう豆22、ゆでた白インゲン豆31、ツナ缶50、塩サケ47、ブルーベリー53、マンゴー51、ぶどう43、オレンジ40、りんご40、いちご40、ミルク34、ピーナツ13
※『Glycemic Ⅰndex』(シドニー大学)等の資料を参考に、グルコース(ブドウ糖)を100としている場合で作成。オーストラリアのシドニー大学ではGⅠ値が70以上の食品を「高GⅠ食品」、56〜69の間の食品を「中GⅠ食品」、55以下の食品を「低GⅠ食品」と定義している。

◉朝・昼・晩3食の理想のとり方
1:朝食は高GⅠ値の食品を、夕食は低GⅠ値の食品をとる。
2:朝は7時、昼は13時、夜は19時に、そして朝4:昼3:夜3の分量比で食べる。
3:体内時計を朝型にシフトさせるため、長い絶食時間を設けた後に、しっかり朝食をとる。
4:夜型移行を防ぐため、夕食は分食(19時主食、23時主菜)にしてもよい。

理想の朝食メニュー
■ご飯と焼き魚
焼き魚は、惣菜のほか、レンジで加熱するだけでいただける商品がスーパーやコンビニで手に入る。
■ツナサンド
サンドイッチならば、GⅠ値の高い「小麦」と「マグロ」の魚油が合わせてとれる、ツナサンドが断然お勧め。

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監修/古谷彰子先生
理学博士。栄養士。chronomanage代表。早稲田大学等で約10年間、体内時計と食に関する研究に従事。著書に『食べる時間を変えれば健康になる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある他、雑誌や書籍での献立提供、講演活動等で活躍。

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