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イケメンさんご用心! 『肺気胸』は一度発症すると再発を繰り返す厄介な病気(2)

 いずれにしても、肺気胸という病気は自覚症状に乏しい場合もあるが、普通は発病すると前述の胸痛、息切れなどに加え、タンの出ない咳や動悸が起きる。
 ただ、これらの症状が進行すると呼吸困難がひどくなり、血液中の酸素などが減少するチアノーゼ(指、唇が紫色になる)や冷や汗などショック状態に陥ることもあるので注意が必要。
 「これらの治療法としては、気胸の程度が小さい場合は、体を動かしたり大声を出したりせずに安静にしていれば、穴がふさがることもあります。逆に気胸の程度が大きい場合は、胸腔に針を刺し胸腔内にチューブを入れて、空気を持続的に吸引しながら、肺に開いた穴をふさぐこともあります。しかし、再発を防ぐには病変部を切除する手術が効果的と思われますが…」(前出・久富院長)

 肺気胸で厄介なところは、何度も再発を繰り返すところにある。内科的に治療した場合、再発は約50%、2回起こすと再発は80%以上と医療関係者は口を揃える。これに対して外科的手術は、発生率を格段に抑えられるという説が支配的だ。
 埼玉県川越市の自営業・佐竹巌さん(36)も再発した一人。佐竹さんは自らを「自然気胸になりやすい典型的なタイプ」と“自認”する。いわゆる痩せ型で、胸に厚みのない体型。18歳の時に突然、左胸に痛みを感じたそうだ。
 近所の医者に駆け込んで診察を受けたが、2週間の入院で感染症の防止処置をされただけで済んだ。ところが数年後、今度は右胸に痛みが出た。「状態がひどい」ということで即刻入院となり、全身麻酔の胸腔鏡を使った手術を受けた。
 この場合、空気の漏れる部位によっては、肋骨を切って胸を開いて処置することもある。佐竹さんはできたブラが破れても、肺などが圧迫されないように、胸膜の内側の層と外側の層を癒着させる手術も施した。
 「手術から10年経ちますが再発しません。とにかく体験から、気管支や肺の病気に気を付けてますね。毎年インフルエンザの季節には、予防接種を必ず受けるようにしています」(佐竹さん)

 気胸症でもう一つ加えておく必要がある。もともと肺気腫や気管支ぜんそく、肺結核などの肺疾患があり、気胸を続発する「続発性気胸」の人は、ブラができやすいため、空洞が破裂すれば気胸を誘発する。とくに50歳以上の高齢者は要注意で、甘く見ていると死に至ることもあると言われ、早期の受診が必要だ。
 では、気胸の予防策はあるのか。専門家は「予防法は特にない」と言うが、ただはっきりしているのは、肺がんにもつながるタバコは、全ての病気によくないということ。また、急激な強い負荷のかかる腹筋、腕立て伏せなどは避け、無理のない運動を心がける。
 そして飛行機の搭乗や登山、ダイビングなど気圧の変動があるものは注意が必要だ。肺胸膜にできる気腫性のう胞(薄い空気袋)はデリケートなのである。

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