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読売の日米野球復活案を選手会が拒否

 23日、福岡ヤフードームでのオールスター前に福岡市内のホテルで行われる労組・日本プロ野球選手会(新井貴浩会長=阪神)総会で、読売新聞社が提案していた今秋の日米野球開催に対し、拒否回答が決議される。

 日米野球は、読売新聞社と毎日新聞社が交互に主催、2年ごとに開催されてきたが、06年を最後に行われていない。「日米野球は親善野球で、日米の交流という本来の目的は達成した。現在はワールド・ベースボール・クラシック(WBC)など真剣勝負の国際試合が行われるようになっているのだから、花相撲的な日米野球は意味がない。過去の功績は認めるが…」。
 労組・選手会のこういう主張から、06年の読売主催の日米野球を最後の開催に廃止扱いになっている。
 が、「従来の親善野球の日米野球ではなく、4年に1度のWBCの前哨戦的な意味合いの真剣勝負にしたい。日本代表が大リーグ代表の胸を借りる試合にする」という、読売新聞社のリニューアル案が出され、12球団代表がメンバーのプロ野球実行委員会、国際関係委員会などで検討されてきた。12球団側では開催に前向きな意見も多くあったものの、「最終的には選手会が了承しないことには実現できない」と、最後は選手会の対応次第ということになっていた。
 「一度廃止した日米野球を復活させるには、それなりのきちんとした理由が必要になる。それでなくとも、クライマックスシリーズ(CS)というポストシーズンゲームが増えたり、さらにアジアシリーズ(現在は中断中で日韓クラブチャンピオンシップが代案で行われている)などの試合もあり、オフのスケジュールも過密になっている」。こういう不満を抱いている選手会は、日米野球の復活には当初から消極的な姿勢だったが、23日の総会で正式に拒否回答ということになる。

 読売主催の日米野球復活案が却下されるのは、巨人の球界内部での地盤沈下を象徴する出来事だ。巨人が球界の盟主を自他共に認めていた時代は、読売、巨人軍の提案が一蹴されることなどあり得なかった。渡辺恒雄球団会長がオーナー時代も、オーナー会議の主導権を握っており、「ナベツネさんの鶴の一声ですべて決まった」というナベツネ神話まであった。が、時代は変わった。
 今年のオーナー会議の議長は巨人・滝鼻卓雄オーナー、選手会との団交の12球団側窓口の選手関係委員会委員長も巨人・清武英利代表だ。それなのに、読売新聞社主催の日米野球復活案を実現できないのだから、読売巨人軍の威信低下は誰の目にも明らかだろう。
 奇しくも球界内部でのYGブランドの権威失墜が始まったのは、対選手会との闘いだった。04年のシーズン中の史上初の選手会ストライキを成功させてしまったのは、「たかが選手の分際で」というワンマンオーナーの渡辺発言だった。この一言に世論が猛反発して、選手会のストライキ支持に回ったのだ。
 あれから6年。またまた選手会相手に手痛い敗戦を喫することになる。「選手会は完全に抑えている」と、巨人・清武代表は周囲にうそぶいてきたらしいが、有言不実行と言われても反論の余地はないだろう。

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