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ROOKIES(ルーキーズ) その10

 家庭裁判所の決定が下った。結果は…少年院送致なし。“シャバ”に戻ることとなった。
 しかし、収監中に両親の懸命な姿を目にした今となっては、元の生活に戻ろうという気も起きない。かといって学校に戻ろうにも居場所はない。なにせ担任から「学校に来るな」と言い渡されていたからである。

 やむなく光浩は、父親の経営する会社で仕事を手伝うことになった。工事現場などで解体作業に従事する肉体労働。来る日も来る日も現場に出向き、真面目に働いた。
 そんな毎日を送っているうち、いつしか中学を卒業していた。とはいえ日々の生活には全く変化がない。そんなある日、父親のツテで光浩に興味を示す人物が現れた。具志堅用高である。
 白井義男と共同で「白井・具志堅スポーツジム」を運営し、新しい人材を捜していた具志堅は、新空手で無敵だったという光浩に興味を抱いた。
 具志堅は光浩をジムに入門させた。そのころの光浩は、鑑別所での規則正しい生活と工事現場での過酷な労働が相俟って、以前の太った姿からは想像できないほど、スリムで引き締まった肉体に“改造”されていた。
 ジムでトレーニングを続ける光浩だったが、心の中ではどこかシックリこないところもあった。「オレはボクシングじゃなく、キックがやりたいんじゃないか?」
 新空手を経験していたことから“足”を使わないボクシングには、どこか違和感を覚えたのだろう。光浩は具志堅に正直に申し出た。「オレが知っているキックのジムを紹介してあげよう」
 具志堅から教えられ、光浩は神奈川県伊勢原市にある「キックボクシング谷山ジム」に向かった。ここは後にK-1ワールドMAX2008で日本王者になる城戸康裕選手をはじめ、優秀な選手が名を連ねているキックの名門ジムだった。
 「自分のやりたかったことが、ここにあるのか?」。期待と不安が交錯する中、光浩は谷山ジムのドアを叩いた。

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