動物人間学研究者の春江次郎氏によれば、そもそも女性のイキ声は、生殖活動に不可欠なものだそうだ。
「女性がセックス中に出す声は、体の筋肉をほぐす意味があるのではないかと私は考えています。セックス中に無言でいると声帯が閉じたままになり、体の筋肉が硬くなります。骨盤内にある、膣や子宮を取り巻く筋肉も柔軟に機能しませんから、子宮口の位置がスムーズに降りてきません。結果として子宮内に精子を吸い込みにくくなり、生殖活動にも悪影響です。セックスとはそもそも種を存続させるための行為ですから、その本来の意味でも女性は声を出す必要があるんです」
そうしたイキ声を、専門家の春江氏は、“あえぎ声”と“よがり声”に分けて捉えている。前者は、「アンアン」や「ハンハン」といった、唇や舌を含めた口内筋肉をほとんど動かさずに発声できる「反射声」だ。
一方、歓喜や激情を表現して、自分がオーガズムに近づいていることを男に伝えるのが、よがり声の役目なのだという。つまりあえぎ声はエクスタシーの段階で漏れ出てくる単なる“音”であり、感極まった女性が漏らす意味のある“言葉”が、よがり声と言えるだろう。
「過剰な興奮状態になった女性は、たとえ意味のある言葉を発したとしても、そのときのことをほとんど覚えていません。おそらく性的な刺激に対する本能的な反応なのだと思われます。だから、生まれ育った地元の方言が思わず出てしまうことが多々あります」(同)
例えば京都出身の女性であれば、「そこどす、ああええわ!」とあえいだり、奈良出身の女性が「あかんえ、やめたらあかんえ!」と叫んだり、といった具合である。
ふだんはお澄まし顔で標準語を話しているような女性が、お国言葉を叫びながらペニスの動きに合わせて悶える光景。これぞまさしく男子の本懐と言えるだろう。つまり、都道府県別のイキ声の傾向を知っておけば、いつなんどき、どの土地で一戦を交えたとしても、相手の女性の本気ぶりを見極められるというわけだ。