巨人が2年越しの白星を手にした。
開幕戦を最多勝右腕グライシンガー、セーブ王・クルーンの乱調で落とした。さらにチームの盗塁王でもある鈴木尚広の負傷交代もあり、CSシリーズ突破に暗雲が垂れこめていた。
この日は上原浩治で万全を期した。
北京五輪後、スランプから復調した上原が8回を2失点に抑え、先発の役目を果たす。打線も4本塁打を含む17安打、11点を叩き出す猛攻。終わってみれば一方的な完勝劇だった。
これでアドバンテージの1勝を含め、2勝1敗と一歩リードした。
まさに悪夢を吹き飛ばす1勝となったが、その背景には「プレーオフのワースト記録を更新してなるものか」という反骨心があった。
巨人は今年のCS開幕戦で中日に敗れ、プレーオフでの同一球団からの連敗記録を更新した。第2戦も敗れれば、チームの士気は著しく下がってしまう。去年の二の舞となり、CSで1勝も挙げられないまま敗退しかねない状況だった。
それだけに、上原も「日本シリーズで投げたいという気持ちで投げた。今日はチームとしては最高の試合ができたんじゃないですか」といつも以上に気合を入れていた。
6打点を挙げた打のヒーロー、小笠原も「上原の(内野安打の)全力疾走で火がついた。みんながつないで打たせてくれた」とチーム一丸となって勝利をつかみ取ったことを強調した。
「理想的な点の取り方ができた。全体的に(選手)全員の肩の力が抜けていて、いいものが出たと思います。短期決戦なので次戦に集中したい」(原監督)と逆襲のきっかけを掴んだ。
反骨心を胸にチームが一丸となった。先発した
上原も「(プレーオフは)負けたら終わりですから。投げろ、と言われたら、もちろん」とスクランブル登板も辞さない覚悟だ。
上原は先発した10月の試合は、7戦全勝(リーグ戦5戦5勝、日本シリーズ2戦2勝)と記録を更新中。勢いに乗った巨人は、このまま日本シリーズ進出を決めることができるか。