現在、ドイツなど欧州の気象機関は日本の気象庁から得た観測データを基に独自に予測し、放射性物質が拡散する様子を連日、天気予報サイトで公開している。気象庁の予測は国際原子力機関(IAEA)の要請によるものだという。
「放射性物質予報」を気象庁にもやってほしいという声が出るのは自然な流れだ。データ提供を民間の気象予報会社にも広げれば、「花粉情報」を出すみたいに発信できるだろう。そうすれば今日は洗濯物を外に干せるかどうかや、外出の注意も出来るだろう。子供に「今日は原発からの風がこっち向いてるから、外に出ちゃダメよ」と言えるのだが…。永田町関係者は「国民のパニックを恐れているのでは。しかし海外経由の情報で放射性物質の飛散を知るのは情けない。まあ、お上からの(公表はまかりならんという)お達しがあったんだろうね」と肩を落とす。
それを裏付けそうな書類が出てきた。18日付で日本気象学会会員あてに配布された、日本気象学会理事長名での注意文だ。そこには「放射性物質の拡散は、防災対策と密接に関わる問題であり、適切な気象観測・予測データの使用はもとより、放射性物質特有の複雑な物理・化学過程、とりわけ拡散源の正確な情報を考慮しなければ信頼できる予測は容易ではありません」とし、「防災対策の基本は、信頼できる単一の情報を提供し、その情報に基づいて行動することです。会員の皆様はこの点を念頭に置いて適切に対応されるようにお願いしたい」とクギを刺している。つまり、勝手な拡散予測はするなということ。政府が拡散情報にナーバスになっていることが伺える文書だ。
しかし、海外では入手可能な情報が日本では非公表なのは、国民の知る権利にも抵触することにならないのか? 今後政府の対応に批判の声が噴出してきそうだ。
ちなみに、ドイツ気象庁の予測では、5日は風向きにより四国や九州にも放射性物質が飛散すると予測している。