「スター性も秘めた清宮クンが欲しいのは本当だが、プロ志望届を出してくれるのかどうか、まだ分からない。あらゆる事態に備えておかないと…」(在京球団スカウト)
目下、センバツ大会に選ばれるかどうかの当落線上にいると位置づけられている関東地区の有力高校は、慶應、山梨学院、中央学院、そして、横浜。その横浜高校が選ばれなかった場合、関東地区のスカウトを「センバツ担当」と「横浜密着」に二分するという。
横浜高校にも1位指名候補がいる。増田珠(新3年=右投右打)、強肩強打の外野手でリトルシニア時代(中学硬式野球)は投手兼任だった。
「右打者では高校ナンバー1だと思っている」
そう言い切るスカウトもいた。
昨秋はチーム事情で「投手兼任」に復帰したが、U−15侍ジャパンで4番も経験している。同校の前任監督・渡辺元智氏も「スケールが違う」と、広角に打ち分ける打撃センスを絶賛していた。しかも、右打者でありながら、一塁到達まで4秒を切るかどうかの俊足。「本塁打を量産するタイプではないが、バットを振り切ったときの力が全てボールに伝わる感じで、飛距離も出る」(在阪スカウト)
また、別のスカウトは「もっと(本塁打を)打てる」と長距離タイプとして評価していたが…。地元・DeNA、昨秋、同校の藤平を1位指名した楽天、ソフトバンク、ヤクルトがとくに熱心とされるが、清宮が早々に進学を表明した場合、他球団もプロ志望の強い増田に切り換えてくるだろう。今年は有望な高校生スラッガーも多いが、右投左打が目立つ。走攻守の三拍子揃っていて、かつ右打者の増田はタイプが異なるだけにスカウトの注目度も上がりそうだ。
センバツを逃した学校は春季大会に備え、強豪校との練習試合を行う。そこに張り付いた“留守番”組のスカウトたちの報告次第では、たとえ清宮がプロ志望届を出したとしても、1位指名変更を決断する球団も出てくるだろう。(一部敬称略)