今月11日に東京地方裁判所は、2005年に都内のアパートで発生した死傷事件について、不正な改造による事故の実態を把握できたにもかかわらず、注意勧告や製品の回収指示を行わなかったとして、当時パロマ社のメーカーのトップであった、元社長・小林敏宏被告に禁固1年6か月(執行猶予3年)、元品質管理部長・鎌塚渉両被告に対しては、禁固1年(執行猶予3年)の判決を言い渡した。
消費者庁を発足させる契機にもなった、今回のパロマ湯沸器事故は、死亡した男性の母親が、死因の解明を2006年に警視庁に訴えて再捜査が始まり、ようやくパロマ社製品による一連の事故が判明したもの。もし、この母親ら遺族が声を上げなければ、闇のなかに葬られていた事件であるともいえる。
今は、消費者自身が自分の身は自分で守らなければならない時代である。今回の厳しい有罪の判決は、企業が隠そうとする不都合な真実に目をつぶらず、声をあげることの大切さを改めて教えてくれている。
(「悪徳商法記者」多田文明)