(38歳・人材派遣会社勤務)
A:横光利一の小説『旅愁』に、「フランス人の父親が16〜17歳の息子に、『お前も少しぴんと胸を張って歩け、こうして』といって、反り返って歩いてみせると、息子も猫背をやめてぴんと反って歩く」という描写があります。
自分の権利を守るためには闘いも辞さない西洋と、争いを好まず和を尊ぶ日本では、性格も考え方も違います。その人の姿勢が考え方や感情を反映することもあるでしょう。
姿勢が悪いと出っ歯になりやすいのは本当です。
悪い姿勢とは、首が前に出て、猫背で反り腰です。顎が後ろに下がり、重心はかかとにあります。高齢者によくみられる姿勢です。
●まずはよい姿勢を意識
こういう姿勢は、下顎が後ろに下がります。そして、顎が後ろに下がると、やがて次第に出っ歯になってきます。これは、骨格がバランスをとるからです。ゆがみの出発点がどこであれ、ゆがんだ箇所があると、体はそのゆがみに対応し、他の箇所もゆがみます。それは体がバランスをとっている結果なのです。
最近は、椅子に座ったときに、頭が前に出て、背中が丸くなったり、腰が折れて斜め前方へすべらせるように座ったりしている人が増えてきました。こういう座り方も、悪い姿勢を助長するでしょう。
ご質問の方は、まずは姿勢を意識しましょう。
パソコンを使うときも、姿勢を正してください。歩くときは、胸をぐいとそびやかさないまでも、肩、胸を開きます。そして、おなかのへそのあたりを上に持ち上げるようにしましょう。
また、姿勢をよくする方法はいろいろありますが、私は生ゴムのバンドをおしりに巻いて腰を回す運動をお勧めします。骨盤のゆがみが取れ、背骨がまっすぐになるし、姿勢を保つ深部の筋肉も強化されます。ゆったりと回すことが効果を上げるコツです。
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山田 晶氏(歯科医師)
骨盤療法(ペルピックセラピー)で著名。日本歯科大学卒業。歯科の領域から骨盤のゆがみに着目。骨盤のゆがみを自分で取る方法として、腰回しの普及に努めている。やまだ治療院顧問。