また、07年以降、高校生の指名人数も増えている。分離ドラフトだった07年は大学生・社会人の指名は2人、高校生は3人。ウェバー制の08年以降だが、大学生・社会人(独立リーグを含む)と高校生の指名人数の割合は、以下の通り。08年は「3人対4人」、09年は「1人対4人」、昨年は「1人対4人」。レギュラー選手、並びに一軍クラスの戦力が安定しているから『育成』を重視できるのだろう。しかし、今年も『育成重視』で行くかどうかは、まだ決まっていない。
投手陣は充実しているが、杉内俊哉(31)が国内FA権を取得したように、和田毅(30)、馬原孝浩(29)、摂津正(29)など“ビミョ〜な年齢”に差し掛かっていた。06年・大隣憲司(希望枠)、07年に大場翔太を1位指名し、08年にも大田泰示の抽選に外れた後、巽真悟(近畿大)に切り換えたのは、現主力の杉内たちがピークを過ぎる近未来を見越してのこと。大場たちの伸び悩みは、岩嵜翔(21)、山田大樹(22)がカバーしてくれたが、「即戦力投手を補うべきか、将来性で行くか」で、今年のドラフト戦略は判断が分かれる。
即戦力で行くならば、『ビッグ3』の藤岡、菅野、野村の入札に参加だろう。3人のうち、誰に行くかは分からない。しかし、その抽選に外れた場合も「即戦力なのか、高校生なのか」も決定していない。即戦力で選ぶのなら、日体大・辻孟彦投手(右投右打)かもしれない。同投手の視察には、ソフトバンクと中日が熱心だと聞く。
また、近畿大学の左腕・中後悠平投手に対しては「左で150キロが出る投手はなかなかいない」と各紙にコメントを出しており、『ビッグ3』と対等か、それ以上に評価しているような口ぶりだった。
高校生なら、宮崎日大の159キロ右腕・武田翔太投手、唐津商の北方悠誠投(右投右打)は早い時期から12球団が注目していたが、夏の佐賀県大会で888球を投げ、さらに評価が高まった。武田投手については小林至取締役ら総勢5人で視察したこともあり、北方投手は永山勝スカウト部長が「球威はピカイチ。闘争心もいい」と、コメントを出している。ホークスの選手層の厚さは12球団トップ。20代前半の育成も遅々としてではあるが、進んでいると聞く。20代前半の選手たちの成長度合いを見極め、即戦力か、将来性かを決めることになりそうだ。(スポーツライター・飯山満)