「午前10〜12時は脳や精神の働きがピークに達しているときで、頭が冴え、状況を見極める力が高くなり、判断も早い。ということは、サラリーマンなら重要な会議は午前中にやった方がいいわけです。一方、単純な繰り返し作業をこなす力が最も発揮されるのは夕方です。ただし、夕方の仕事は速いが、誤りも多いという傾向があるので、翌日、再チェックした方がいいとは思います」
ちなみに、労働災害の発生件数が多いのは、午前10〜11時と午後2〜3時という。
これはどういうことか、田村名誉教授に説明してもらおう。
「仕事を始めてから90分後に心身ともに疲労が高まり、事故が多くなるのです。つまり、そこで一休みすると、疲労対策にもなります。たとえば、そこでチョコレートを食べると、含まれているポリフェノールが体内の活性酸素を除去してくれます」
なるほど、午前中の休憩時間にチョコレートを食べることには、こんな意味があったのだ。
では、睡眠はどう取ればいいのだろうか。
「睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠がありますが、90分ごとに訪れるノンレム睡眠のときに目覚めると、快適な目覚めになります。ノンレム睡眠でないときに目覚まし時計で強制的に起こされると、眠いし、倦怠感が残ります」
起床時間が決まっていれば、そこから逆算すると快適な睡眠が取れるわけである。
「午前2時は、髪の毛や皮膚など、体を作る成長ホルモンの分泌量が最も多くなるときです。したがって、遅くとも午前2時までには寝てください」
実際、長寿の人は早寝早起きで、規則正しい生活を送っている。
生体リズムを守って生活すれば、突然死からも身を守ることができるうえ、仕事の能率も上がるはずである。
みなさんも、ぜひ試してみるべきだろう。