鈴木が語っていた過去の企画は、『はねるのトびら』(フジテレビ系)で行われた「母の日大感謝企画! 第二回 手作りお弁当バトル!!」だと思われる。同番組には、アンガールズ・田中卓志、フットボールアワー・後藤輝基、楽しんご、キングコング・西野亮廣、Wエンジン・チャンカワイら、5人の芸人が母親と共に参加。それぞれの家庭の弁当を、俳優やタレントに試食をさせて、評価するというものだった。そして審査員ゲストには、長澤まさみ、溝端淳平、成海璃子、小森純らが順番に登場。
今回のラジオにて鈴木が「番組サイドとしては、一番キレる要素、要は芸人を怒らせたくて」と語っているように、制作側はゲストに辛辣なコメントをするよう要求していたのかもしれない。本番では公平なジャッジをするため、作った母親の名前は伏せられていたものの、溝端は田中の母親が作った弁当を試食した際、「これ、自分のお母さんが作ってきたら友達に見せるの嫌ですね」などといった厳しい意見が次々と飛び交った。
そして番組の後半、最後のゲストとして登場したモデル・小森もその流れに続いた。同企画は、ゲストに「おいしい」と選ばれた親子から抜け、最後まで選ばれなかった親子が最下位になるというルールである。MCの北陽・虻川美穂子も「最後に残ったお弁当が“あ〜あ”ということになります」と説明している。そんななか、最後に残ったのは後藤親子と田中親子だったが、小森が選んだのは後藤の母親。つまり最下位は、田中の母親が作った弁当となった。
この結果に田中は「おい! どうすんだよウチのお母さん」と小森らにツッコミを入れ、母親を心配そうに見つめた。その後、小森は最下位の理由について「これ冷凍食品は使われてます? これがなんか粘っこかった。何かわかんなかった」と正直な感想を吐露すると、田中の表情は一変。
彼は「あのねぇ、マジでウチのお母さんは看護師で、ずっと忙しかったのよ! 三交代でさ、一生懸命やりながら作ってる弁当だから、冷凍食品も入ってくるわけよ! それをさ、いち読者モデルが簡単に否定すんじゃねぇよ! 実質一番身長伸ばしたんだよ!」と声を荒げながら、必死に母親をかばった。
さらに田中の怒りは収まらず、「ふざけんなよ、マジで。これをずっと食べてきて育ったんだ俺は」と弁当を手に取り「お母さん、うまい、うまいよ。最高」と、口がいっぱいになるほどの食材を詰め込み、食べ続けた。するとそんな息子の愛情に心を打たれた母親は「ありがとう…ありがとう」と手で顔を覆いながら涙を流したのである。この光景に、スタジオは笑いと感動に包まれ、番組は終了した。
田中といえば、バラエティ番組で蟹のモノマネなどを率先して披露する芸風であるため、視聴者から「気持ち悪い」との罵声を浴びせられることも珍しくない。だからこそ芸人として、自分自身はどれだけ傷つけられても構わないという覚悟も出来ている。しかし今回のような、家族が悲しい思いをするという状況だけは、バラエティとはいえ受け入れることができず、怒りの声をあげてしまったのかもしれない。
【参考】
・『はねるのトびら』(フジテレビ系)2011年05月18日
・『アッパレやってまーす!』(MBSラジオ)2017年5月1日
(柴田ボイ)