「タレント業に転身、とまでいかなくてもいい。本人に少しでもテレビに出るつもりがあるのなら、業界にとってはかつてないほどの逸材となる」
こうささやくのは大手芸能プロ関係者。政治家を引退した後も国民人気の高い小泉元総理をタレントとして迎えるべく、芸能事務所が水面下で争奪戦を繰り広げているという。
小泉元総理といえば、2001年から5年半にも及ぶ長期政権を維持した名首相。「劇場型政治」を駆使し、「自民党をぶっ壊す!」「痛みを伴う改革」など自分の言葉で国民を鼓舞する術にたけていたことも記憶に新しい。「政治家として彼がやったことは、実はほとんどが改悪。にもかかわらず国民人気は最高で、総選挙のときなど彼が選挙カーの上に立っただけで聴衆が集まって、ありがたくお言葉を拝聴するわけです。時代が時代なら『独裁者』になれたかもしれない、何かを持っている」(政治部記者)
そんなカリスマ政治家もことし8月の衆院総選挙で地盤を二男・進次郎氏に譲って引退。その後は「環境保護と経済発展の両立や、食の安全の問題などにも尽力したい」と、なお政治活動への熱い思いを語っていた。
ところが、12月公開の映画「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説」に“ウルトラマンキング”の声優として小泉元総理が大抜てきされたから、さあ大変。
「これまではタレント的な仕事の全部を断ってきた小泉氏だが、それは進次郎氏に継がせるまでオヤジがあまり派手に動かないほうがいい、という心遣いから。心配事がなくなった今後は、本当の意味での隠居生活、自分の好きなことをやって生きていくつもりでは。もともとバラエティー番組などテレビ好きで有名な小泉氏のことだから、テレビ出演自体はまんざらでもないはず。となれば芸能事務所が黙っていません」(同)
当初は、長男で俳優の小泉孝太郎が所属するイザワオフィスが「業務提携」で芸能活動をマネジメントするといわれた。しかし、あまりの逸材ぶりに大手事務所が続々と獲得に名乗り。事態は混沌(こんとん)としていて、「獲得すればドル箱タレント間違いなしなのだからおいしい。水面下で契約金の上積み合戦の様相を呈している」(芸能リポーター)らしい。
中でもダークホースとして注目されるのが吉本興業だ。「一番鼻息が荒いですね。フジ系『クイズ!ヘキサゴンII』や日テレ系『行列のできる法律相談所』『人生が変わる1分間の深イイ話』など、紳助司会の番組に起用したがっていて、“震源”は、もちろん紳助本人。『ぜひとも紳助ファミリーに迎えたい』と気合入りまくりで、社の上層部に掛け合っているらしい」(芸能リポーター)
「羞恥心」や「Pabo」らを自身の番組から輩出。さらに男性5人組のアイドルユニット「新選組リアン」をプロデュースし、今月14日にはシングル「男道」でCDデビューさせたばかりと、本格的にプロデュース業に進出しつつある紳助だが、「小泉総理の場合は、タレント業そのものを陰でプロデュースしようとしている。まあ、紳助にとってはメリットが大きいですよね。その最たるものは政界進出のための、これ以上ないパイプです」(同)という。
政界転身に意欲満々といわれる紳助。また、芸能界における陰の力では、あの和田アキ子をも超えたといわれる実力者だけに、小泉元総理サイドとのギブアンドテークが成立するのは間違いなさそうだ。