それにはまず、浮遊する物がどんな箇所に付着しやすいかを知る必要がある。部屋の空気は流れに多少の違いはあるものの、医療機関の研究チームが調査した結果、次のような物に付着しやすいようだ。
(1)カーテン
(2)カーペット(人が良く座るところ)
(3)フローリング
(4)布団や枕
(5)ソファの背もたれと座の付け根。ぬいぐるみなど
小児アレルギーの子供を持つ米田房江さん(34=仮名)は「小児科の先生などのアドバイスを受け、お掃除の仕方を研究しました」と言い、こんな助言をしてくれた。
「ダニの死骸や糞などの浮遊物は、きれいに除去したいと思っても完璧にはいきません。お掃除の仕方も工夫が必要で、いきなり掃除機ではなく、まず布で拭いてから掃除機を使います。“はたき”はホコリをまき散らすだけなのでなるべく使わない。“布団たたき”もダニの死骸などを細かく砕いてしまうので、軽く払った後、掃除機で裏表を吸いとるようにします。こうした点に注意を払い、お掃除を繰り返したら、子供のアレルギーの発作が減りました」
ダニ糞などの付着物は、洗濯すると、糞は水溶性だし9割は除去できるので、取れ難い布、藁製品などの交換が必要かもしれない。
絨毯(じゅうたん)の場合も、毛を起こしながら時間をかけて掃除し、布製ソファなら、頭や背中が当たる部分の塵を繰り返し掃除機で取り除く。寝具類は日光に干し、軽く叩いてから掃除機をかける。畳は掃除機をかけた後、固く絞った雑巾でイグサの部分を拭くと取り除けるという。
ある専門家は「1枚の布団に数万から数十万匹のダニが潜んでいる」と指摘する。
夏の間、押し入れに仕舞い込んだままの布団は要注意。通気性が悪く、高温多湿の押し入れは、ダニにとっては格好の繁殖場所。布団を取り出して使う場合は、天日干しとダニの死骸、糞の除去をしっかりと行ってからにしてほしい。
不幸にして生きたものを含め、ダニに取りつかれアレルギー性の疾患となった場合の治療は、症状に対して抗アレルギー薬の内服や点鼻薬を使う。
だが、専門家は「重要なのは出来る限りアルゲンを取り除くこと」という。室内の徹底した掃除やダニが嫌い、取りつきにくいような模様替えも必要だ。
ダニは、世界に約2万種いるといわれる。非常に多様性に富み、様々な面で人間生活にかかわりを持ち続けているが、“社会のダニ”と揶揄されることが多い。
前出の小山いとこ院長が最後に語る。
「とにかく朝に症状が強く表れるのは、布団にダニがいるからです。100%の除去は難しいですが、ダニの居場所を少なくするための方策をしっかりと取らなければなりません」