かねてから木下は、先輩・後輩、有名・無名によって態度を変えることが指摘されていた。今回はそれが最悪の形でさらされた。ここ数年は、かねてからの夢だった俳優業で花開いているが、その前途は多難か……。
そんな木下の後輩で、うしろシティ・金子学の場合はもっと悲惨だ。今年7月11日、フィンランド・ヨエンスーで開催された『第1回ヘヴィメタル編み物世界選手権』で優勝したにもかかわらず、スポットライトを浴びていないからだ。
うしろシティと言えば、『キングオブコント』で12年、13年、15年と3度も決勝戦に進出している“松竹のコントエンペラー”。相方の阿諏訪泰義は、ずば抜けた味覚の“神舌”、プロ並みの料理の腕とあって、さまざまな料理番組やバラエティに引っ張りダコ。
焦った金子は模索して、冠ラジオ番組『うしろシティ 星のギガボディ』(TBSラジオ)の企画の一つとして、松竹仲間のヒコロヒー、コーヒールンバ・平岡佐智男、ゆんぼだんぷと「GIGA BODY, METAL, from JAPAN」を結成。同大会の動画審査にエントリーすると、予選、準決勝を通過して、ファイナリスト15組に選出された。
同大会は初の開催とあって、渡航費や宿泊費は支給されない。クラウドファンディングで支援を募ると、目標金額をすぐに達成。ラジオリスナーや支援者の期待を一身に背負ってパフォーマンスすると、悲願の優勝を果たすというドラマティックな展開となった。
ヘヴィメタルバンドの生演奏に芸者、相撲取り、忍者といった日本の文化を詰め込んだアイデアが勝因。ヘヴィメタ×編み物×ニッポンという異色の組み合わせも、審査員の心を捉えた。
翌8月には、サンリオ初のお笑い芸人のキャラクター「Warahibi!」(わらひび)のオーディションで約500名の難関を勝ち抜き、ダブルメガネの実力派漫才師「グラシッククラシック」という役をゲットした2人。サンリオという大企業が掲げた一大プロジェクトを制したにもかかわらず、こちらも同じく、さほど話題にならなかった。
好成績を2度も収めたうしろシティより、暴君ぶりが取りざたされた木下のほうが旬になってしまう由々しき事態。国民は、幸せよりスキャンダルをお気に召すようだ。
(伊藤由華)