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おやじ雑学 日本のお正月(1)

 お正月は、その年の年神様を家にお迎えして祝う行事だ。年神様は豊穣と幸せをもたらす神様で、日の出とともに高い山から降りてやってくるといわれている。
 日本では古来、神様は山や海、森、太陽などからやってきて石や木に憑くとされており、各家ではお正月になると年神様に立ち寄ってもらうための“木”を用意した。それが『門松』であり、神様へのお供え物が『鏡餅』である。
 松の内が終わってから鏡開きをするのは、神様が山へお帰りになってからというわけで、神様は卯の日にお帰りになるそうだ。

 ひと昔前の子どもにとって、元旦は特別だった。家長が新年のあいさつを述べ、家族全員で「おめでとうございます」と声をそろえてお屠蘇となる。小さい子どもから杯が回されるが、これは「若さを年長者へ回す」という意味合いがあり、齢の若い順に飲むしきたりによる。
 それから順番にお年玉が配られ、みんなで料理を楽しむ。
 大人たちはお酒を飲んで談笑しながらの食事となるので、当然長丁場となる。退屈した子どもたちは、凧揚げや羽根つきへと誘い合って外に出ることになるが、この日ばかりは食事の途中で遊びに出ても叱られることはない。

 「昭和のお正月といえば、先日亡くなった高倉健さんの映画『駅 STATIОN』を思い出しますね」
 こう話してくれたのは、東京・新橋で飲んでいた定年間近のサラリーマン氏。この映画は健さんの代表作の一つ(1981年製作/監督・降旗康男/東宝)で、健さん演じる主人公の警察官・三上英次と4人の女性の物語だ。
 大晦日の夜、雪深い田舎町の居酒屋で、肩寄せ合ってNHK紅白歌合戦から流れる八代亜紀の『舟唄』を聴く健さんと倍賞千恵子さんのシーンが有名で、ポスターにもなっている。

 「その翌日の元旦、主人公の英次が実家に帰省する場面がありましてね、実家には年老いた母と兄、嫁いだ妹夫婦、小さな甥や姪たちが集まっているのですが、英次が見せるくつろいだ表情が印象的でしてね。英次は、警察官として目の前で上司が射殺されたり、自分も犯人を射殺したりという壮絶な経験があって、ほれた女と一緒にいた大晦日の夜でさえ厳しい表情を残していたのに、実家では和らいだ表情を見せるのです。その表現が素晴らしいなぁと。一家団らんの温かさが、スクリーンを通して見事に伝わってきました」
 前出のサラリーマン氏が熱く語る。

 年老いた母が自分の孫たちに何回もお年玉を渡す場面もある。認知症状が出始めた行動なのだが、母親が大事にしていた行事であることがうかがわれる。夫亡き後、家長として家を守ってきた責任感と、母親としての愛情が入り混じって伝わり、心打たれる。

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