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センバツ目前! 現役高校監督逮捕の余波

 『第82回選抜高等学校野球大会』(以下センバツ)の開幕日を2日後に控えた3月18日、現役高校野球監督が傷害容疑で逮捕されるというショッキングなニュースが飛び込んできた。しかも、その被害者は元教え子(41)であり、関係者は動揺を隠せないでいた。

 逮捕されたのは、広島県立呉昭和高等学校教諭。野球では“無名”に近いが、その教諭とは、小川成海監督だ。小川容疑者は春夏の甲子園出場に7度出場し、96年センバツ大会では、東陽高校をベスト4まで進めた名将でもあるのだ。
 「ひと言で言えば、熱血漢ですよ。年齢を重ねるにつれ、性格が丸くなる監督も多いんですが、小川監督は違いました。今年3月末に定年退職する予定でしたが…」(関係者)

 昨夏、小川監督率いる呉昭和高は、甲子園大会・広島県予選4回戦で8回コールド負けを喫した(1対8)。相手は広島戦代表校・如水館だった。その試合後、同監督は「力負けです」と相手校にエールを送り、「まだ1、2年生が残っている。(定年退職する3月末の)ギリギリまで鍛えてやりたい」と、野球指導への情熱も語っていた。
 「小川監督は広島工、東陽高を経て、公立の呉昭和校に05年から赴任してきました。如水館にコールド負けしたとはいえ、無名の公立高校を県大会4回戦まで進めたのは小川監督の熱血指導ゆえですよ」(前出・同)
 同監督の教え子の1人に大リーグでも活躍した元ヤクルト・高津臣吾投手もいる。
しかし、その長い熱血指導のなかには“タブー”も起きていた。90年、広島工監督を辞任。03年、東陽高監督を解任されている。理由は「行き過ぎた指導」だった…。

 『傷害事件』は18日午後9時20分ころ、同監督は広島市中区弥生町の居酒屋で、元教え子と鉢合わせになったという。元教え子は野球部員ではなかったが、広島工時代、同監督の授業を受けている。
 「近年、市内で再会したそうです。挨拶を交わす程度ですが、飲食店などで顔を合わせることもあって」(地元住民の1人)
 その元教え子を殴り、ケガをさせた理由だが、「日頃の言動に腹が立った」とのことだが、「平手で頭部は殴ったが、顔は殴っていない」と、同監督は容疑の一部を否定している。
 「別々に客として店に入り、顔を合わせた後、口論に発展したようです。生徒指導の延長で手が出たのでしょうか」
 高校野球関係者は、捜査の行方を心配していた。

 いずれにせよ、現役監督の傷害事件となれば、高校野球の現場指導に不安を寄せる声が出るかもしれない。高校球界の現場指導はどうなっているのか。ひと昔前なら、口で言っても分からない部員は“体罰”で指導されていたという。しかし、決して大ごとにはならなかった。昨今では「頭ごなしに怒るだけでは付いて来ない」と考える若い監督が増えており、先輩後輩の上下関係も希薄になってきた。こんな声も聞かれた。
 「監督が甘い顔をしていると、ナメて掛かる球児もいないわけではないんです。正当な教育目的があっても手を挙げれば問題になるし…」(関東圏監督の1人)
 そんな実状を物語る逸話もある。西日本のある強豪校監督は「試合中、怒りたいのを我慢し、ベンチを蹴飛ばしていたら足の爪が割れた」と言う。怒りたいのを我慢し、ベンチを蹴飛ばしていた理由は簡単だ。試合中継のテレビカメラは監督の上半身しか映さない。テレビカメラの映らない箇所で『怒り』を発散していたのである。また、高校監督は嫌煙家とヘビースモーカーの両極端に別れる。後者の監督は「タバコにしか逃げるところがない」とこぼしていた。ストレスの原因が「怒るに怒れない実状」であることは説明するまでもないだろう。

 小川監督を爆発させた教え子がどんな態度を示したのかは分からない。定年まであと2週間余。現場指導者たちが「越えてはならない」としてきた一線を破ったことで、同監督の積み上げてきた実績が瓦解してしまったことだけは間違いないようだ。

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