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東京屈指の自殺スポット「高島平団地」

 1972(昭和47)年に入居が始まった高島平団地は、都営三田線・高島平駅を降りてすぐ目の前にある。当時、最新の建築技術を用いて造られたことで団地の高層化が可能になり、完成時には都心に最も近い高層団地として、入居希望者が殺到した。また、都心へのアクセスも良く、水道橋、神保町、大手町、日比谷といった駅には直通で行け、池袋にも20分台で行ける便利さは特筆すべき点である。そのため、一時期ほどの人気は失われたが現在も入居者が多く、駅とマンモス団地周辺には店舗もあって買い物客で賑わっていた。

 そんな羨望の対象だった高島平団地だが、人気に水を差す出来事が起こる。77年に親子3人が団地から投身自殺をして、それ以来「自殺の名所」と呼ばれるようになったのだ。当時としてはまだ珍しかった高層ビルであることが裏目に出てしまったのだろう。

 この出来事に影響を受けたのか、その後、高島平団地では自殺する者が続出。わずか3年の間に133人を超える人が高所から身を投げた。単純計算すると、8日で1人が亡くなっていることになる。

 これを受けて、高島平団地では3階より上の共有部分に鉄格子が付くようになった。鳥や花などのデザインをあしらってはいるものの、その様はどう見ても異様であり、刑務所にでも入っているかのような気分にさせる。しかし、その後も住民同士による傷害事件や、投身以外に首吊り自殺なども発生したようで、いつしかここは東京でも屈指の「心霊スポット」に数えられるまでになってしまったのだ…。

「当初は若い家族も多くて、賑やかだったけど、みんな年を取ってしまったね。最近は、価格の安さからか、外国人が増えて雰囲気も変わってしまって、昔が恋しいよ」

 団地前広場のベンチに腰掛けていた、72年頃から住んでいるというお年寄りの女性は、それでも往時を懐かしむのだった。

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