新空手とは14オンスのボクシンググローブを着用し、顔面への突きを認めるフルコンタクト空手のこと。日本のキックボクシングのアマチュア部門とも言えるし、プロキックボクシングへの登竜門とも言える。実際、競技大会ではジャッジをプロキックボクシングの審判が務めている場合が多い。最近ではK-1人気の影響で競技人口が増えているそうだ。
光浩は小学生時代を通じて新空手に熱中した。持ち前の負けん気の強さと生来の熱心さがあいまって、まさに小学生相手では負け知らず。無敵の存在だった。
しかし、たとえ頂点を極めた者であっても、いつかは必ず負けるときが来る。光浩も小学5年生のとき、初めての敗戦を体験した。
小学生の時分なら、勝ったり負けたりを繰り返しながら成長していくのが普通だろう。だが光浩は違った。たった1度の敗戦で、熱中していた新空手の道からあっさり逸れてしまった。
これもまたあまり物事に執着しないサッパリとした性格が影響したに違いない。だが、逸れた方向が良くない。小学6年生ごろから次第にグレ始め、中学校に入ると本格化した。伝説の始まりである。