猫は昨年6月の同マラソンを、発熱を理由に欠場し、ブンティン選手との対戦を回避していた。11年6月の同マラソン以来、2年ぶりにブンティン選手と直接対決したが、またも敗れ去ってしまった。
11年秋にカンボジア国籍を取得した猫は、昨年2月5日の別府大分毎日マラソンで、2時間30分26秒の自己最高タイムを記録。ブンティン選手の11年の最高タイムである2時間31分58秒を上回り、同国陸連は同年3月25日、猫をロンドン五輪代表に選出した。
しかし、同年5月8日、国際陸連は「過去に国際競技会での代表経験がない」「国籍取得から1年未満かつ連続1年以上の居住実績がない」ことから参加資格を満たしていないと正式に判断、特例も認めないことを通達。同国陸連はこの決定を受け入れ、猫の五輪出場を取り消した。
同年4月のパリ・マラソンで、五輪選考レースではなかったが、ブンティン選手が猫の自己最高タイムを7分近く上回る2時間23分29秒の自己ベストタイムを出して、猫より速いことをアピールした。ただ、ブンティン選手は同国陸連、五輪委員会と確執があり、猫の代わりに、五輪代表に選ばれることはなかった。
今回のレース後、猫は「思っていたほど後半に(スピードが)伸びなかった」と語った。自身のツイッターでは、「暑いからとはいえ、う〜ん遅い。終わった後は下痢と汗のかきすぎで脱水症状に。また忘れられない大会になった。でも楽しかった! 来年も走りたい!」とつぶやいた。
現状、猫は16年リオ五輪を目指すことは明言していない。ただ、マラソンの練習も、レース出場も続けており、視野に入れていることは確か。五輪代表に選ばれるためには、国内のライバルであるブンティン選手に勝つしか道はない。ハーフマラソンとはいえ、ライバルに完敗して、リオ出場は遠のいたようだ。
(落合一郎)