(38歳・電気工事会社勤務)
A:全身がだるくなるのは、熱中症の初期段階でしょう。夜も体がほてっているのは、体内に熱がこもり、出ていかないからです。かといって、就寝時にクーラーを効かせすぎると、おっしゃる通り、それはそれで体によくありません。
熱中症の予防には漢方薬を利用するとよいでしょう。いろいろとよいものがあります。
●全身倦怠感に「清暑益気湯」
代表的なものに「清暑益気湯」があります。暑気あたり、暑さによる食欲不振・下痢・全身倦怠感、夏やせに適しています。特に、熱中症になりかけて、全身がだるいときに用いるのがオススメです。
また、体がなんとなくだるいなどの熱中症の前段階のような状態のときに用いるとよい漢方薬に「麦門冬湯」があります。肺をうるおし、配合されている「人参」が元気をつけてくれます。
初期からさらに本格的な段階に進んだ場合に適している漢方薬に「白虎加人参湯」があります。
また、夏の果物のスイカは熱中症予防に役立ちます。体をうるおし、熱を冷まし、熱を尿から出します。スイカは水分も電解質も豊富ですので、熱中症予防にピッタリの食品なのです。
スイカには「シトルリン」というアミノ酸の一種が含まれています。シトルリンは血流を改善します。この成分は赤い果肉よりも白い部分に多く含まれているので、白い部分も食べたほうがよいのです。ちなみに漢方では皮を煎じて食べます。
ご質問の方は、熱中症対策食品として、できるだけスイカを食べるようにするとよいでしょう。
なお、熱中症予防に水ばかり飲むと、電解質のバランスが崩れます。麦門冬湯をミネラルウオーターのペットボトルに入れ、熱中症予防ドリンクとして飲むとよいでしょう。
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岡田研吉氏(研医会診療所漢方科医師)
東邦大学医学部卒。ドイツ留学中に東洋医学に関心を持ち、帰国後、国立東静病院で漢方を学ぶ。独自の漢方処方で生活習慣病等に成果を上げている。著書『さらさら血液が長生きの秘訣』など多数。