シャワーを浴びた時、お湯は傷口の上を流れ落ちるので、浸み込むようなことは少ないと思われます。しかし、入浴すると水圧でお湯が傷口に浸み込む可能性が高くなり、炎症や感染を起こす危険性が高くなってしまいます。とはいえ、きれいな水でたっぷりと、文字通り湯水のごとく風呂に浸かるのは日本人の幸せでもあります。そこで、湯船に浸かる時はお湯の温度と入浴時間に気をつけましょう。
半身浴も長すぎると脱水で脳梗塞や心筋梗塞を起こす可能性があります。また、寒い場所から冷えた体で、急に熱い風呂に入ることで血圧が急上昇・急下降する「ヒートショック」を起こすことや、風呂で熱中症を起こすこともあります。酒を飲んだあとは特に危険です。さらに、風呂で寝てしまい、失神して溺れることもあり得ます。
厚生労働省や学会の統計によれば1年間に風呂で亡くなった方は約1万9000人で、交通事故による年間死亡数の約5倍もあります。入浴する時は脱衣所や浴室をあらかじめ暖かくしておき、熱いお湯や長湯は避けてください。
また、湯船から出る時も、勢いよく出ると血圧が急に下がる恐れがあるので、ゆっくり立ち上がるよう心がけましょう。
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監修/井尻慎一郎先生
井尻整形外科院長。医学博士。著書・監修書に『痛いところから分かる 骨・関節・神経の逆引診断事典』(創元社)、『筋肉のからくり 動かし方を変えるだけでコリと激痛が消える!』(宝島社)などがあるほか、論文、講演、テレビ出演などで活躍中。井尻整形外科HPはhttps://ijiri.jp