A:緑内障は、以前は眼圧が高いことによって、その圧力によって視神経が押し潰され萎縮し、視野の狭窄が起こる病気でした。
眼圧は、眼球の内側から外側に向けてかかっている圧力です。眼球が丸い形に保たれているのも眼圧のおかげです。眼球の中は房水という水が循環しており、眼圧はこの房水によってコントロールされています。
この房水が、なんらかの原因によって前眼房という部分に溜まると、眼球全体の眼圧が高まり視神経乳頭を圧迫します。
視神経乳頭は視神経が集まっています。構造的に眼圧に弱く、圧迫されると視神経の血流が低下し、神経が死んでしまいます。視野が欠けたりするのはそのためです。
ところが今は、眼圧が正常な人にも発症する「正常眼圧緑内障」が多くみられます。眼圧が高くなくても視神経が萎縮します。視神経が眼圧に弱いため、正常な眼圧でも視神経を圧迫してしまうのではないかと考えられています。
あるいは、視神経に栄養を与える血液の循環が悪くなり、血行障害によって視神経が栄養不足になっているためではないかとの見方もあります。しかし、本当の原因はわかっていません。
●漢方薬で対応できる
ご質問の方のお兄さんが、どちらのタイプかはわかりませんが、漢方治療にはそれぞれ効果的な漢方薬があります。
眼圧が高い緑内障には、「五苓散」と「猪苓散」の二つの漢方薬を併用すると効果的です。同時に飲むことで眼球の炎症を取り、尿の出をよくすることで目にこもった熱を下げ、眼圧を下げていきます。
一方、正常眼圧緑内障に対しては、体を温めて目の循環をよくする「四物湯」や、全身の於血を改善して血液をサラサラにする「冠元顆粒」が効果的です。
また、目によい漢方薬には、「杞菊地黄丸」や「釣藤散」があります。二つとも生薬の菊花が配合されています。その他、眼底動脈の循環をよくする漢方薬に「四物湯」があります。
なお、基本的なこととして、目を酷使せず疲れたら休ませる、睡眠を十分にとるなど、生活面に注意しましょう。また、紫外線は極力避けたいものです。
岡田研吉氏(玉川学園・岡田医院院長)
東邦大学医学部卒。ドイツ留学中に東洋医学に関心を持ち、帰国後、国立東静病院で漢方を学ぶ。独自の漢方処方で生活習慣病などに成果を上げている。著書『さらさら血液が長生きの秘訣』など多数。