かつて18期生の取材で京王多摩川にあった旧競輪学校を訪ねたことがあった。その時は北日本の選手は岡部伊和男(福島)一人だったことを思うとき、94期に10人も新人がいるのを聞くと、まさに隔世の感がある。
今期の福島の新人は須永優太、佐藤康恭、猪狩卓男、大島将人、真船圭一郎、小酒大司、関根彰人、佐藤一伸、関根崇人、宇佐見裕輝の10人だ。
須永は在校成績4位、持久力抜群だそうで、400バンクならジャンから出ても粘れそうだ。師匠は須賀川グループの木野内豊。
猪狩は在校成績8位、まだ20歳だからタイムはどんどんよくなるはずで、師匠の小川信明のしぶとさを見習えば将来はS級で活躍出来るだろう。
関根崇人は山崎芳仁の弟デシ。師匠の添田広福も引退してコーチ役に徹してくるというから、競輪学校で足りなかった練習をこなしてくれば、山崎を引いて先行する場面も、来年あたり期待できそうだ。
北日本で注目されているのは坂本勉(青森)の息子で貴史。在校成績は7位だが、千メートル1分8秒台は潜在能力を覗かせている。とかく二世選手は父親に比べると甘さがあるが、まだ19歳の若さだ。良血ぶりを見せるか注目したい。
真船圭一郎は岡部芳幸の弟子。在校成績は35位だが、どちらかというとマイペースの岡部が弟子を獲ったのには驚いた。それだけ将来性があるということか…。
変わり種は十文字貴信(茨城)の弟子でデビューが28歳の中川昌久。すでに千葉(2)(7)欠とデビュー戦をこなしているが、2日目準決では落車再入とプロの厳しさを味わった。だが、師匠の十文字は股関節を痛めるまでは、練習熱心でハードなトレーニングに耐えていた。十文字は名伯楽・川村恵三のコーチ理論の継承者だけに、中川を鍛え上げてくれるだろう。
94期の最年長者は山本淳(神奈川)で32歳の遅咲き。第一戦で失格したが選手として充実している法月成祐(77期)らが練習仲間だけに練習相手に不足はない。早い段階で追い込みにかわるだろう。
成田恭一(奈良)は成田和也(福島)の兄。30歳から選手を目指したが、ダッシュは天下一品。弟に追いつくには時間がかかるが、楽しみな一人。また小谷文康(広島)は教員から郵便局員、そして競輪選手へと転向した30歳の変わり種。ダッシュは非凡というから、今後に注目したい。94期生76名はA3戦で特進を狙い、レインボーファイナルを目指して頑張る。