巨人が7月12日の広島戦を落とした。スコアは「0対2」、完封負けは今季9度目だ。原辰徳監督は「0点じゃあ、なかなか。何とか主導権を握るゲームをしたいんだけど、できなかった」と、取材陣に返した。表情は渋かったが、淡々としていた。この日の敗戦を受け入れたといった印象だ。
しかし、試合前に通常とは異なるアクションを見せていた。
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「堀田賢慎と船迫大雅が試合前の練習に参加しました」(スポーツ紙記者)
原監督は“昇格が近い選手”をいったん試合前の練習に参加させる。雰囲気や試合準備などの段取りを学ばせるためで、先ごろ昇格した浅野翔吾も、その道のりを歩んでいる。堀田、船迫も近く昇格か? そんな声が囁かれる中、原監督はこれまでの“一軍研修”とは異なる練習を指示した。
「打撃練習用のネットが運び込まれたんです。堀田、船迫は打撃投手役になって」(前出・同)
球場スタッフの段取りの早さから察すると、事前に指示を出していたのだろう。一軍選手たちもケージが運び出されるのと同時にホームベース周辺に集まり始めた。
シート打撃が始まった。シート打撃は実戦形式でのバッティング練習であり、投手も相手を抑えるつもりで投げる。
通常、試合前にシート打撃の練習は行わない。まして、「3時間後に試合会場となる球場で」だ。
「堀田は打者12人と対戦し、ヒット性の当たりは1本しか与えませんでした。最速は146キロが最高。彼の持ち味はスピードではなく、ボールの重量感。そのストレートで一軍バッターを押し込んでいたので『合格』だと思います」(ベテラン記者)
船迫もヒット性の当たりは2本、三振も4つ奪ってみせた。「ファーム降格の間、新たにカットボールを覚えた」(関係者)とのことで、それを有効に使っていた印象だ。
この異例の練習を見守っていた原監督は、終始無言。「2人の一軍昇格は近い」と見る取材陣も多かった。しかし、10日ほど前のこと。二軍のジャイアンツ球場でこの堀田を見た時、桑田真澄ファーム総監督が付きっ切りとなり、投球フォームの改造を行っていた。
「3か月くらいで(新フォームを)完成させるつもりで指導中」
そのように聞いていたのだが…。
シート打撃中の堀田を見る限り、新フォームに違和感はないようだ。左足を上げた時、少しだが、右肩を下げる。往年の桑田コーチに似てきた感じだ。
「レイズの先発投手、エルビン・ロドリゲスがDFAになりました。NPB球団から好条件を提示され、本人の強い希望でレイズ側が退団を認めた、と。NPBのどこの球団ですかね?」(米国人ライター)
堀田、船迫を一軍練習に合流させたということは、投手陣の強化が狙いなのだろう。さらなる外部補強もあり得ない話ではないが、このシート打撃で、原監督は浅野の直接指導も行っている。こちらもシーズン中では異例の光景とはなる。シート打撃、直接指導、米球界から飛び込んできたMLB投手の日本球界入り。後半戦、原監督が何かを仕掛けてくる。(スポーツライター・飯山満)