そんな大城。実はまだ、ある人材派遣のアルバイトに名前を残したままである。芸人1本で食えるようになった1年前からすでに行けなくなっているが、これまでにイベント会場や漫画喫茶の看板持ち、映画館、客引きなど常にバイトを掛け持ちしていた経験から、“保険”を残しているのだ。
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そのバイトとは、植木職人の補助。プロの指示に従いながら、草むしり、植木の伐採をする日雇いで、日給1万円前後と悪くない。現在も、芸人だけで15人も登録している。俳優は5人、プロレスラーは3人。突然のオーディションや番組の仕事が入っても、バイト同士でシフトを交代して時間の融通が利くため、ストレスフリー。月給20万円稼ぐ芸人もいる。
卒業者は大城のほかに、モグライダーのともしげ、真空ジェシカの川北茂澄がいる。2人の俳優は、ここで働いてから朝ドラ出演が決定した。モグライダーと真空ジェシカは、「M-1グランプリ2021」で初の決勝進出で強烈なインパクトを残して、売れっ子芸人の仲間入り。冠番組を抱えるまでになった。
その「M-1」の決勝進出決定の瞬間は、バイトメンバーが揃って配信で観ていた。最初に呼ばれたのが真空ジェシカで、2番目がモグライダー。仲間たちは「うおーっ!」と歓喜の声を上げた。輪の中心にいたのが、「親方」こと小林さとし氏。元WKAムエタイ世界ライト級王者で、かつて「野良犬」と呼ばれたキックボクサーだ。
小林氏はジムで子どもたちにボクシングを教えるかたわら、植木職人を補助する人材派遣会社の代表を務める。自身がボクサーで食えないころ、バイトに救われた経験を生かして、派遣業を始めた。芸人らが働きやすい環境を提示しているのも、自分の経験から。大城の登録を抹消していないのも親方ならではの優しさで、とことん“芸人ファースト”なのだ。
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(伊藤由華)