これまで捕まった末端のメンバーはSNSからの高額バイト募集だけでなく、有名な大手求人サイトを通じて闇バイトに関わるようになった人も多い。
大手求人サイトの募集では「現場作業」「受け取り・配送スタッフ」「日給10万円以上」など誰でもできそうでしかも高額報酬。こうした求人に応募すると、秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」に切り替えて連絡を取り合うよう指示される。
その後、住所や家族構成などの個人情報を伝えてしまうと、後は「家族がどうなってもいいのか」などと、脅され抜け出せなくなる。
グループにとって、実行犯は使い捨ての駒に過ぎない。犯罪白書によると、令和元年は全強盗犯のうち87.8%が逮捕されている。言ってみれば強盗は「ほぼ捕まる犯罪」なのだ。
強盗で捕まると【5年以上の有期懲役】、強盗のときに相手を傷つけたら【無期または6年以上の懲役】、被害者を殺してしまったら【死刑または無期懲役】と、なる。さらに強盗の場合、原則執行猶予はつかない。
例えば、軽い気持ちで万引きをして逃げようとしたとする。店員に止められ突き飛ばしてケガをさせた。この場合は【事後強盗致傷】となり、5年以上20年以下の懲役となる。もちろん原則執行猶予はつかない。強盗はそれほどの重罪なのだ。
「高額報酬」に釣られて実行犯にさせられたら、驚くほど高いリスクを同時に抱え込むことになる。
ルフィを名乗る広域強盗団が、報道されるようになってから、安直に強盗を行う犯罪が増えたが、おそらくほとんどの犯人は、強盗の罪の重さについて考えたこともないだろう。
テレビやネットのニュースを観て、「強盗をすればすぐに金が入る」とマネをする。
犯罪者の多くは、自分が捕まるということをあまり考えない。これは闇バイトの募集に応じた人も、強盗の模倣犯をする犯人も一緒のようだ。
前述したように強盗のほとんどが捕まる。結果、5年~20年の実刑だ。強盗は割の合わない犯罪なのだ。
プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。