清宮は両チーム無得点で迎えた2回裏無死二塁で内角球を捉え、右翼スタンドにライナーで飛び込む先制2ランを放つ。これが決勝点となりチームは「3-0」で勝利したが、新庄剛志監督は試合後に「清宮くんに関しては、あれは進塁打のサイン」と、2回裏の打席では進塁打を指示していたことを明かしたことが伝えられた。
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同監督は「結果的にはああなったけど、まあまあプラスに考えてね。結果的に進塁はさせたから」と清宮をおとがめなしとしたが、首脳陣の指示を無視してのプレーは本来なら信頼を大きく落としかねない重大な行為。過去には指示無視を犯した選手が首脳陣から干され、その後のキャリアも閉ざされてしまったケースもある。
問題が起こったのは、2014年5月6日のDeNA対巨人戦8回表でのこと。「2-1」と1点リードのDeNAはこの回先頭の梶谷隆幸(現巨人)が出塁。続く中村紀洋(現中日二軍打撃コーチ)の打席ではスタートの構えを何度か見せ相手バッテリーを揺さぶったが、中村は3球目を引っ掛け併殺打となった。
この直後、中継画面では一塁を走り抜けた中村に対し、一塁コーチャーが一塁ベース方向を指差しながら何かを伝える様子が映る。また、その後にはベンチ内のDeNA・中畑清監督(当時/現野球解説者)が腕を組み険しい表情を浮かべている様子もアップで映ったが、この時点では何があったのかは分からなかった。
同戦はそのままDeNAが逃げ切り勝利したが、中村は試合翌日の7日に突然登録を抹消される。中畑監督は同日の巨人戦前に応じた取材で「チーム方針に従わない言動がある。懲罰的な部分がある」と、詳細は伏せつつも首脳陣の意に反する行為があったためと説明した。
一方、中村は同日に自身の公式Facebookに「打席に入っているとき 走者を場面によっては動かさず、打撃に集中させてほしいとコーチに相談させてもらいました。そうしたところ、今朝になり連絡があり登録抹消だということでした。この時点で監督には直接、お話したわけではありません。コーチに相談することが監督批判になってしまった形です」などと投稿。首脳陣から自己判断での盗塁を許可する、いわゆる“グリーンライト”を指示されていた梶谷の動きが打撃の妨げになると主張したところ、これが首脳陣への造反行為と捉えられたと弁明した。
ただ、中畑監督が伏せた内幕を自ら暴露したことでさらに首脳陣の怒りを買ったのか、中村は降格後一度も一軍に呼ばれないまま2014年オフに自由契約に。その後は新天地が見つからないまま指導者・野球解説者に転身しており、本人は正式に引退を表明していないものの、事実上の引退状態となっている。
中村は2012年にも自身の打席中に二盗を決めた選手をベンチで叱責し、中畑監督から二軍送りにされるという問題行動を起こしている。“前科”があったことも2014年のトラブルが許されなかった一要因とされているが、昨季「打て」のサインを無視して新庄監督に怒られた過去がある清宮も、今一度気を引き締め直す必要がありそうだ。
文 / 柴田雅人
記事内の引用について
中村紀洋の公式Facebookより
https://www.facebook.com/nakamura.norihiro99/