前日まで「1勝9敗」の正代はこの日、「6勝4敗」の平幕・若元春と対戦。今場所は前日まで9連敗を喫し既に負け越し・カド番決定と絶不調で、この日ものど輪で体を起こされ土俵際に追い込まれるなど劣勢。ただ、ここで左に動きながらの突き落としを見せ逆転で勝利した。
2日目から続いた9連敗をようやくストップさせた正代は、取組後に応じた取材の中で「負け越しが決まっているので思いきり最後まで取れたと思う」、「この調子で千秋楽まで勝って締めくくりたい」とコメント。失うものはないと開き直って相撲を取ることができたと手応えを口にした上で、残り4日間を全勝でいきたいと抱負を述べたという。
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正代の取組後コメントを受け、ネット上には激励のコメントが寄せられたが、それ以上に「普通に負けかけてたのによくそんなポジティブでいれるな」、「内容本当に酷かったのに満足げなのはちょっと考えが甘すぎる」、「思い切りとった結果が今日の相撲なら、悪いけどもう大関の実力はないのでは」といった冷ややかな声が見られた。
「正代とこの日対戦した若元春は番付上では完全に正代の格下で、今場所成績も白星先行ではあるものの大勝ちしているわけではありません。ただ、迎えた一番は立ち合い低く当たると、のど輪を交えながらすぐに得意の右四つになるなどいい動きを見せていました。一方、正代は立ち合い出足はまずまずだったものの、腰高でほぼ棒立ちのような体勢だったため若元春の攻めをまともに受ける形に。土俵際で見せた苦し紛れの引きが決まり星は拾ったものの、内容的にはほぼ完敗でした。この相撲を『思いきり取れた』と振り返った正代に対し、自己評価が高すぎないかとため息をついたファンは少なからずいたようです」(相撲ライター)
この日NHK中継で解説を務めた芝田山親方(元横綱・大乃国)からも「いつもの正代ですよね。立った後はひざも伸びてるし、完全に体も起きてるし」と酷評されている正代。本人が感じた手応えは果たして正しかったのか、残り4日間の相撲に要注目だ。
文 / 柴田雅人