ドワンゴは今後、第三者に商標権放棄を求めて行く考えを示している。この第三者にあたるとみられるYouTuberの柚葉氏は既に商標登録の抹消申請を発表している。
>>“ゆっくり茶番劇”登録抹消申請を報告も怒りの声 虚偽のツイート、便乗YouTuberが謝罪するなど波紋<<
一連のドワンゴの対応を評価する声がある一方で、「ドワンゴが永久に権利を主張しないって言い切れない」といった慎重派の意見も存在する。
ネット上に存在するコンテンツの商標登録を巡る同様のケースで思い出されるのが、2005年9月に起こった「のまネコ騒動」だろう。ネット上のキャラクターとして、匿名掲示板の2ちゃんねるなどで親しまれていた「のまネコ」が、エイベックスのグループ会社によって商標登録がなされる動きが起こった。これにネット民が激しく反発。エイベックス側は商標を取り下げた。
さらにその後、別件のネット脅迫容疑で逮捕されていた男性が「のまネコ騒動」を受け、エイベックス社員に殺害予告を行ったと明かした。また、この男性は同社の松浦勝人代表取締役社長(現・会長)に対する自宅放火予告容疑などでも再逮捕される。男性は懲役1年半の実刑判決を受けた。
男性は出所後の2012年にもパソコン遠隔操作事件を起こし、翌13年に逮捕されている。こちらもネットを通して脅迫文を書き込むものだが、手口は第三者のパソコンを乗っ取るもので悪質、巧妙化。パソコンの持ち主たちは誤認逮捕されてしまった。男性は一時的に保釈され冤罪を主張するも、偽装工作が明らかとなり、保釈は取り消しに。懲役8年の実刑判決が下された。「のまネコ」騒動で、ネットでの脅迫により世の中を動かせるとして味をしめてしまったと見る声もある。
ネット上で広く親しまれていたコンテンツの商標登録は、何かとネット民の怒りを買いやすい。過去には脅迫事件に発展し逮捕者を出してしまったケースもある。今回の件はそのようなヒートアップは避けたいところだ。