「1-3」と中日2点ビハインドの8回裏無死。この回先頭の根尾にソフトバンク4番手・重田倫明が、カウント「2-2」から真ん中高めのスライダーを投じた。しかし、それまでにストレートを4球連続で投げていた影響もあったのか、根尾はこのスライダーに反応できず見逃し三振を喫した。
根尾が倒れ1死となった後、中継カメラはベンチに下がった根尾の様子を映し出す。根尾は座席に腰を下ろし右手でヘルメットを脱ぐと、その右手をそのまま隣の座席に向かって振りかぶった。ただ、右手を2度ビクッと震わせながらも投げつけるのをこらえ、その後は左手で抱え込むようにヘルメットを持ち替えた。
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この根尾の姿を受け、ネット上には「真面目で優等生な根尾のこんな姿は初めて見た」、「甘いスライダーに手が出なかったことが悔しかったのか? ここまで荒ぶるのは相当珍しいぞ」、「直前も含めてこの日はサッパリ(4打数無安打・3三振)だったから相当イラついてそう」と驚きの声が相次いだ。
同時に、「遊撃再転向で尻に火がついたのか?」、「この日から遊撃として再出発したこともこの怒りに関係してそう」、「遊撃定着へ結果が欲しい、アピールしなきゃいけないって思いが行き過ぎたのかも」と、感情的な行動に及びそうになった背景を推測するコメントも多数見られた。
「根尾は昨秋キャンプで遊撃から外野に転向し今季を迎えましたが、一軍では20日までで打率『.143』と振るわず21日に登録抹消。同日に立浪和義監督と行った話し合いで遊撃への再転向が決まり、そのままファームのソフトバンク戦に『1番・遊撃』で先発しました。遊撃争いに敗れて外野に移り、その外野でもチャンスをつかめないまま遊撃に戻されたという形ですが、ファンの間では根尾が感情的な面を見せたのは『結果を出さないといよいよ居場所がなくなる』といったような焦りが背景にあるのではという見方もされています」(野球ライター)
翌22日の試合では前日のうっぷんを晴らすかのように、「4打数2安打・2打点」と結果を残した根尾。紆余曲折を経て戻ってきた遊撃のポジションで立場を確立することはできるのだろうか。
文 / 柴田雅人