姫野は昨季途中から「投手」に転向した。“実戦デビュー”は昨年9月7日の巨人二軍戦で果たしており、150キロ台半ばの力強い直球には目を見張るものがあった。しかし、「今、一軍テストするのか?」というのが、関係者の一致した意見だ。
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チーム関係者の話を総合すると、新庄監督から強い要望があったそうだ。
「ペナントレース開幕戦まで10日を切りました。若手主体のスタメンから主力クラスに切り換え、本番を想定した試合をやっていかなければならない時期です。育成契約の選手をテストする余裕なんてないはず」(プロ野球解説者)
一時は、オープン戦の首位にも立った。しかし、ここに来て快進撃はストップ。主力クラスの起用に切り換えた相手チームとの力の差が出たわけだが、こんな見方もできる。「ビッグボスは総力戦で仕掛けようとしている」と――。
オープン戦が始まった直後からだが、日本ハムを取材する際、選手名鑑が必須アイテムとなっていた。「ねえ、アレは誰?」とメディア、プロ野球解説者が確認をし、センターバックスクリーンのスタメン表を見て、「そんな選手、いたっけ?」と、選手名鑑で開いていた。失礼な話ではあるが、それくらい急激な世代交代が進められているのだ。
「相手チームも若手主体で試合をしていたオープン戦前半、日本ハムは勝利を収めていました。若手同士なら、強い。でも、主力相手になったら、勝てなくなった。とは言うものの、新庄監督はペナントレース本番もオープン戦序盤から試合に出続けている若手で戦っていくしかありません」(球界関係者)
“戦力不足”を補うには、総力戦しかない。新庄監督が見たいのは、姫野の2、3年後ではなく、一軍相手に通用するかどうかであって、「使える」と分かれば、総力戦のメンバーに加えるつもりなのだろう。
“総力戦”と言えば、3月15日の一戦(埼玉西武戦)でも、「おや?」と思える選手起用が見られた。「先発ローテーション候補」の吉田輝星を1イニングで交代させたのだ。
通常、いや、選手層が厚く、オープン戦後半に主力級で実戦投入してくるチームは、この時期になると、先発候補には長めのイニングを投げさせる。
試合後、吉田は「先発の時みたいに様子見で入るのとは違うと思うし、どのくらいの力で投げるかが難しかった」と答えていた。その言葉の通りなら、登板前に「救援」を言い渡されていたことになる。
ビジターゲームのため、新庄監督の試合後の囲み会見は行われなかった。吉田をリリーバーで固定するつもりなのかどうか、その真相は分からない。しかし、ドラフト1位の達孝太(天理)、同じく高卒ルーキー・畔柳亨丞(中京大中京)の今季中の一軍登板も囁かれていた。
新庄監督が就任会見で出た「1回は全員、一軍のグラウンドに」発言は、“ジョーク”ではなかったようだ。(スポーツライター・飯山満)