「守備力でなんとか守り抜いた一戦でした」(プロ野球解説者)
俊敏、かつ正確な外野手から内野手への送球、連携プレーが光った。新庄監督は昨秋キャンプから外野手に返球の高さも指示するなど、実戦を意識した“守備の意識改革”を唱えてきた。その成果だろう。
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「9回2アウトの時点で、二遊間の守備を変えました。ショートの石井一成をセカンドに、セカンドの佐藤龍世をショートに入れ換えました。新庄監督はイニングの途中で選手を代えるんです。『代わった選手のところにボールが飛ぶのが野球の七不思議。その選手にアウトにしてもらって』と話していました」(前出・同)
しかし、“ビッグボス・マジック”は、守備だけではない。スター選手も生み出そうとしている。
「吉田輝星が成長しました。9回表、満塁で一打逆転のピンチに立たされましたが、ゼロに抑えました。吉田が踏ん張れなかったら、『1安打勝利』はありませんでした」(地元メディア)
新庄監督が石井と佐藤の守備位置を入れ換えた時だった。
吉田は自分の交代が告げられたと思ったらしく、内野陣を見渡していた。「続投」を確認したものの、2者連続の四球を与えた。新庄監督のシフト交代よって「間」ができ、投球リズムを失ったのだ。
「吉田が打たれていたら、新庄監督のミスとなっていました。吉田の成長が新庄監督を救いました」(前出・プロ野球解説者)
新庄監督のもとでブレイクしそうな野手もいた。“1点”を挙げた佐藤と、田宮裕涼だ。佐藤は新庄監督が勧める脱力打法の「ペッパー」で器用な一面も見せてきた。
「チームにも馴染んでいるようですね」(前出・地元メディア)
佐藤は昨季途中、トレードでやってきた。彼にとっては思い出したくない話だが、古巣・西武時代、コロナ感染防止対策で不要不急の外出が禁止されていたのにチームメイトとゴルフに出掛け、スピード違反まで犯してしまった。猛省し、今日に至るが、元々は守備力にも定評のあったクリーンアップ候補である。
また、同試合でレフトを守った田宮だが、本来のポジションは「捕手」だ。しかし、外野守備は“急造”とは思えないほど巧く、自身の頭上を超える打球もそつなくこなしていた。
「俊足なのでテストしてみよう、と。新庄監督が決めました」(球界関係者)昨季のファームデータを確認したが、外野手での出場記録はない。
蛇足になるが、田宮は“優しそうな表情をしたイケメン”で、「キャッチャーマスクをしないで試合に出たら?」と冗談も言われてきた。名前は「ゆあ」。今季、外野でレギュラーを獲るかもしれない。人気も出そうである。吉田はもちろんだが、佐藤、田宮の名前も覚えておいた方が良さそうだ。(スポーツライター・飯山満)