米放送局FOXスポーツがレギュラー放送中の野球番組内でMVP争いに関する特集をオンエアした。主役は、大谷だった。
「ポストシーズンマッチの真っ最中なのに、その勝敗よりも大谷を扱った記事の方が大きく報じられる日もあります」(米国人ライター)
しかし、大谷に関する話題は、MVP争いだけではなかった。
もう、“移籍問題”と言ってもいいだろう。9月26日のマリナーズ戦後、米記者団が投打で活躍してもチームの勝利につながらない状況を挙げ、「エンゼルスが好きか、残りたいと思っているのか?」と質問した。大谷はチーム愛を語った後、「それ以上に勝ちたいという気持ちの方が強いですし、プレイヤーとしては、それの方が正しいんじゃないかなと思っています」とも発言した。
>>エンゼルス・大谷の「勝ちたい」発言に監督が激怒? 勝利でシーズン終えるも不満顔だったワケ<<
後日、球団は「移籍希望説」を否定したが、米メディアは周辺取材を続けており、ここにきて、「やっぱり、移籍するのではないか?」の声が強まってきたのだ。
エンゼルスと大谷は今年2月、2年総額850万ドル(約9億円)で契約している。フリーになるのは、2023年オフ。エンゼルスは契約満了となる前に延長交渉をまとめなければならない。
「同じ西海岸のドジャースが強奪してしまうのではないかという声が強くなってきました。ドジャースは補強資金が豊富ですし、投打ともに選手層が厚いので、大谷は間違いなく、2ケタ勝利を挙げられます」(前出・同)
ヤンキースが「エンゼルス指揮官のジョー・マドン監督とセットで引き抜く」なんて話も出ているそうだ。
「東海岸の伝統チーム(ヤンキース、レッドソックスなど)はすぐに結果を求められます。西海岸の穏やかな雰囲気、自分のペースで野球をやることが許される環境が気に入って、エンゼルスを選択しました。ですが、投打で高い成績を挙げても、チームが優勝争いに加われないジレンマを抱いていると、米メディアは伝えています。シーズン終盤、ベンチに座っている時の大谷は考え込んでいるような表情を見せていましたが」(現地関係者)
「ドジャース有力」と聞いて、「おや?」と思う点もないわけではない。ドジャースは指名打者制(=DH)のないナショナルリーグのチームだ。コロナ禍の特別措置として、昨季はDH制が採用されたが、今季は9人制に戻されている。打者出場する際は守備に就かなければならないが…。
そう言えば、マドン監督はDH制の使えない試合の対策として、来季から「外野手・大谷」が構想にある旨も打ち明けていた。外野守備もできるようになれば、ナ・リーグ移籍も選択肢に入ってくるだろう。
現地関係者によれば、大谷はジムトレーニングを始めているという。打撃、投球練習のほかに守備練習が加わり、来春キャンプはさらに忙しくなる。そのために、オフの間も体調を整えておこうと思ったのだろう。
まあ、体を動かしておけば、“余計な雑音”も耳に入って来ないが。(スポーツライター・飯山満)