こうした状況につけ込み、“闇の種付け屋”まで登場しているというから驚きだ。
都内に住む30代の会社員男性Aさんは、約10年前から“ボランティアの精子提供”を続けている。
「ツイッターとホームページを使って『精子を提供しますよ』と、希望する女性を募っています。始めた当初は、『こんなことで応募が来るのかな?』と半信半疑だったけど、これまでに何人もの女性に種付けしてあげましたよ」
Aさんは、定期的に泌尿器科で「性病検査」と「HIV検査」を受け、陰性の診断書をもらっている。さらに、男性専用のクリニックで精子検査も行い、「元気な精子を持っています」と確認しているという。
「ツイッターに『精子提供ボランティア』を名乗って投稿。性病検査をクリアしていることや精子の運動量、身長や血液型なども記載。あとは〈直接メッセージをください〉と書いておくだけです」
試しに本誌記者もSNSで「精子提供」と検索してみると、うさんくさい提供者が出るわ出るわ。Aさんも、いかがわしい男の1人に思えてしまうが…。
「仕方ありません。実際、僕自身も怪しいことをしていると思ってますから(笑)。でも、最近も不妊に悩む夫婦に協力したんですよ」
30代後半の女性から〈一度、お話しをさせていただきたい〉と、Aさんにメッセージが届いたのは数カ月前のこと。都内の高級ホテルのカフェで出会った女性は、女優の木村多江に似た幸薄そうな清楚美女だった。
「夫の精子力が低くて、不妊治療もうまくいっていない。僕の精子検査の結果を見せると、『こんなに濃いんですか…』と驚いていました。旦那さんもその場に同席したのですが、僕の顔だけ見て、『不妊の責任は私にある。なんとかして妻に子供を産ませてやりたい。お願いします』とだけ言って去っていきました」
Aさんと女性は、そのまま高級ホテル上階の部屋へ。
「かなりランクの高いホテルだったので、『部屋代は僕が出しますよ』と言うと、『病院代に比べたら安いから』と言って、女性側が出してくれました」
事前に「精子提供は自然妊娠で行う」と相手には伝えている。「自然妊娠」とは、ずばりセックスのことだ。相手の女性と夫も、Aさんに抱かれるのは了承済み。とはいえ、機械のように味気ない行為に終始するわけでもないという。
「昔からの迷信で“女性がイクと男の子が産まれる”というのがあるじゃないですか。そんな感じで『女性が本気で快感に没頭すればするほど、妊娠率も上がる』と言いくるめておくんです。根拠はないけど、この一言があるかないかで、楽しさは段違いです。夫以外の男に抱かれて感じる罪悪感を薄める効果もあります」
不妊に悩む女性は、男性にイッてもらわないと妊娠できない。そのため、女性のほうが積極的なセックスになるという。
「このときの奥さんは、金玉から精子をすべて吸い上げるようなバキュームフェラがお上手でした。元気な精子への執着が、そうさせるのでしょう。思わずフェラだけでイキそうになってしまって、フェラを止めてもらったほどでした」
木村多江似の人妻は、あわてて仰向けになり、長い脚をパックリ開くと、子種を子宮の奥に受け入れる準備態勢になった。すでにビショビショに濡れていたアソコに、Aさんのペニスを“挿管”。激しくピストンを繰り返すと、「早く出して! たくさん出して!」と人妻が叫んだ。
「こんなセリフ、AVでしか聞かないじゃないですか。だけど、本気で精子を求めている女性は、泣きそうな顔で懇願してくるんです。無事に射精を終えると、ほとんどの女性から、まだつながったままの状態で『ありがとうございます』とお礼を言われます。ただ、これだけだと心配なのか、すぐ2回戦を求められます」
Aさんのもとには、寝取られ趣味を持つ夫婦からの依頼や、子どもが欲しいレズカップルからの依頼も増えているそうだが、トラブルはないのか。
「一度ヤッた後は連絡しないし、子どもが産まれたかどうかの報告を受けることもない。妊娠させても『責任取れ』と迫られることもなく、逆に感謝される。ゴムを着けてヤッてた時代がバカバカしいですよ」
アッシーくんやメッシーくんなどと、女が男を下僕扱いしたバブルが終わり、日本社会は富裕層と低所得者層の格差が広がっている。そんな平成が終わろうとする時期に、男の精子で「強い」「弱い」という新しい格差が生じ、女たちが“精子の力”にひれ伏すという原始的な価値観に戻っている…。
なんとも皮肉な結果だ。